2013年12月28日土曜日

ボサノヴァとラテンは違う



60年代、ボサノヴァ・ブームで猫も杓子もボサ・ノヴァを録音した。ただし大半が「なんちゃって」だったね。いえ、リアルタイムでは知らないですけどね。
「なんちゃって」とはどういうことか。
この頃初めてボサノヴァに接したアメリカ人ミュージシャンにとって、ボサノヴァは「ラテン音楽」だったんだね。南国風で、それっぽければじゅうぶんという中途半端な捉え方だった。当然ブラジルのリズムをしっかり理解していなかった。
だから、「ボサノヴァというわりにはアフロ・キューバンみたい」だったり「ボサノヴァっぽくもあるけど、オフビート」という、笑えない録音がたくさんあるのですよ。

そもそも走りとなったスタン・ゲッツの「ジャズ・サンバ」が、バッチリ100点満点の「なんちゃって」作品だもんね。あのアルバムは大好きだけど、それとこれは話が違う。

エルビスやイーディ・ゴーメのボサノヴァも有名だね。ピアソラやビル・モンローがボサノヴァ録音してたらすごく笑えるけど、さすがにそれはなかったみたい。もっとも、ジョビンの妹が書いたジョビンの伝記(イマイチつまらないw)には、ジョビンとピアソラとカエターノ・ヴェローゾが3人で写っている写真が掲載されていて、びっくりした。

ブラジル本国では「ボサノヴァ冷蔵庫」とかわけのわからんものも発売された。日本では80年代にドライがブームになり、ドライ自転車だったか同じようなわけわからんものが発売されたよなあ。地球の反対側にいても人間は変わらないというのがおもしろい。

さて、そんなボサノヴァ・ブーム、オスカー・ピーターソンもしっかり録音をしました。それも、ちゃんと「なんちゃって」で録音だ。このあたりもブームに乗り遅れていないぜ。

オスカー・ピーターソン、メールのときは面倒なので「オスピ」と省略すると、おすぎとピーコみたいになってしまう。

オスピはおいらがかなり好きなピアニストだ。トレーン全盛時代はそんなこというと軟弱者のレッテルを貼られただろうな。

Soul Espanol
 
このアルバムです。「ソウル・エスパニョール」。さあどうだい。タイトルからしてすごいでしょ。え、わからない?
だって「エスパニョール」だよ。スペインだよ。ブラジルはポルトガル語でしょ。

まあ、この頃のアメリカにおけるボサノヴァは、「なんちゃって」ばかり。日本人がジャズを始めたばかりの頃は、アメリカ人に「あいつら、あれでバップのつもりなんだぜ」とかいわれていたのかもしれないね。

このアルバム、演奏内容そのものはおいらは大好きだ。彼特有のにぎやかさと軽快なラテンリズムwがマッチして、グルーブのある演奏になっている。オスピのオリジナル曲はあいかわらず完成度が高く、本気でお勧めできるアルバムですよ。

こういう反論もあるでしょう。「そもそもこのアルバムはラテンアルバムなんだ。たまたまボサノヴァで演奏されるレパートリーが揃っているから誤解されるが」ほう、そうなのか。
さて、トロンボーンの中路英明氏だったか誰だったか忘れたけど、JL誌のインタビューで「昔はブラジル音楽とラテン音楽の違いもわからなかったよ」といっていた。このフレーズはかっこいい。さりげなく「両者は違うんだぜ?おいらはそれを知ってるけどね」とアピールできる。覚えておいたほうがいいよ~おいらも使ってるw






↓よろしければ投票してください!

音楽(ジャズ) ブログランキングへ