2013年12月19日木曜日

ボーカルのキー



プロアマ問わず、ジャズの器楽奏者で困ったちゃんのボーカルの被害にあったことのある人は多いでしょう。

ちょっと(いや、かなり)古いけど、20年くらい前の話。
バンドにボーカルをいれようという話になった。ギターにとって歌伴は勉強になるのでおいらも賛成だった。そこで、メンバーの誰かがほかのバンドの知り合いにジャズのボーカルを紹介してもらった。

初リハーサルのとき。現れたボーカルは当然女。女というか、女の子。そりゃそうだよね、男のジャズ・ボーカルは少ない。需要も少ない。
そりゃあちょっとはウキウキしましたぜ、ダンナ。
 彼女は20代半ばだったとおもう。レパートリーを尋ねたところ驚きました。ジャズのスタンダードはひとつも知らないとのこと。どうやら手違いがあったようだ。でも「星に願いを」なら歌える、と本人がいうとみんなとりあえずほっとした。

「じゃあそれやりますか。キーはわかる?」

わかるわけないよね。
とりあえずよくある女性キーでやってみた。
1コーラスおわるとそのボーカルが、

「すみません、ひとつあげてください」

(おいおい、ひとつってなんやねん。カラオケとちがうで)
と思いつつ半音あげる。
それで1コーラスおわるとまた、

「すみません、もうひとつあげてください」

(・・・・まあやってみようぜ。移調の練習になるし)

「すみません、またひとつ・・・」

あ、ペットがイライラしてきてる。

「すみませんがもうひとつ・・・」

すみませんがといってるが全然すまなそうな態度ではない。バンドをカラオケと思ってるようだね。
そう、バンドをカラオケと思っているボーカルはけっこういる。自分の伴奏をするためだけに存在すると。悲しいけど。
結局12キーすべてでやった。そしてそのコは、

「うーん、わかりません」

バンドメンバーのうち気がいい半分は「ええかげんにせえよ!」と思い残りの半分はなぜか笑介ばりに「ズッ」となった。

↓よろしければ投票してください!

音楽(ジャズ) ブログランキングへ