2016年11月30日水曜日

疑わしき



ビッグバンドのヘルプで、何度か練習に参加していたころの昔のはなし。

新規加入のアルトサックスが初めて練習に参加したときに、楽譜を渡されたら「楽譜読むのはかったるいから誰か一度演奏してみてくれ。そのとおりにやるから」というようなことを言った。そんなこといっていいのはチェット・ベイカーかジャンゴだけだ!(バディ・リッチでもダメ!)とおもったが、フルバンド経験がなく勝手がわからない当時のおいらは黙っていた。しかし案の定他のサックスセクションの全員から「あほかおまえ!ちゃんと楽譜読め!」と総攻撃されたw

ほどなくしてそのアルトはやめて行った。数か月後、ほうぼうに置かせてもらっていたこのビッグバンドのライブのチラシがごっそりと川に投げ込まれていたのをみたとき、なんとなくそのアルトの仕業なのかなあと疑ってしまった。ちがっていたらごめん。





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2016年11月29日火曜日

選民思想



ベニー・グッドマンが初めてカーネギーホールで演奏するとき、おそらく相当の反対意見があったのだろう。「クラシックの殿堂でジャズをやるなど言語道断だ」みたいな。カーネギーホールはいまではごく普通にジャズも演奏できるわけだけど、似たようなことはどこでもおこりうる。

最近、おいらの知り合いがあるクラシックのホールで、クラシックとはちがう別のイベントを行ったら、後日会場に苦情がきたそうだ。そのときの言い方が「神聖なクラシックのための場所なのに!気持ち悪い!おぞましい!」というものだったそうだ。

そういう考え方のほうが不気味だとおもう。クラシックのファンみんながこんなわけはないだろうけど、選民思想みたいなものをもっているひとはいるよね。クラシックファンにそういう人が多いイメージがある、申し訳ないけど。実際は違うのだろう、上に述べたアホな人のせいでそういうイメージが広がってしまうのではないか。クラシック奏者に知り合いはそんなに多くないけど、演奏家の方が選民思想なんて無縁で「どこでもやりまっせ」みたいな感じだったりする。ま、夜の飲み屋で当たり前に演奏されてもムードぶち壊しなんだけどねw


クラシックばかりをやり玉に上げた格好になってしまったが、ハービーは、ジャズをやっていることで他のポピュラー音楽に対してエリート意識を持っていてしまったと自伝で反省している。この場でアホなジャズ屋ということで何度か話してきたように、ジャズ屋はハービーのようにロックやポップスを低く見る傾向がある。そういうジャズ屋の選民思想はかっこわるい。確かにタブ譜しか読めないひどいやつはロックにこそ多いが・・・


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2016年11月28日月曜日

Point of view

ポイント・オブ・ヴュー



おいらがスパイロの中で一番好きなのはこのアルバムかもしれない。ファーストも捨てがたいんだけど。
1曲目のSlow Burnは都会的なサウンドで、90年代のジャズを聴いてきた人にとってはかなり気に入るナンバーだと思う。まだスムースジャズなどという手応えのない音楽が生まれる前だ。マリンバの音が相変わらずフュージョンサウンドにマッチしすぎ。そして2曲目はあのSwing Street。はい、ジャズ・フロム・ザ・シティですね。聴くたびにあの頃、「今のジャズフェスは酒屋とタバコ屋がいなけりゃ」と言われた時代がよみがえってくる。とにかくスインギー。キャッチーなメロディがあるわけでもないのに名曲だねえ。ノリがいいからなのだろう。

割といいトム・シューマンらしくない3曲目の次に、スパイロ史上最高傑作とも言われる名曲The Unknown Soldierが来る。これはねえ、おいらは勝手に「名もなき戦士」と訳して(あながち間違いじゃないでしょ)、つらいときにはこの曲を聴いてましたよw ビジネスマンとか人知れず何かと戦っている人全員のテーマ曲だと思う。コンセプトはファンモンのヒーローみたいなもんか。いやいやこっちの方が320年以上古いけど。

CD追加曲のNo Limitsがアルバムの真ん中に入っているのが気にいらないんだけど、このクオリティ、なぜこれがレコードからもれたのか理解できない。これよりダメな曲もあるんだけど、メンバーみんなの曲をできるだけ入れようとしたからなんだろうけどね。16ビートでスラップベースがかっこ良くキマる、というとおそらく受け付けない人もいるでしょうけど。

サミュエルズのRiver Walkはのんびりとしながらも壮大で、どこかの川の風景が浮かんでくる曲。後半も佳曲が続く・・・といいたいところだけど、Swamp Thingはダメですな。いつのころからかジェレミー・ウォールの曲は手抜きが多くなってきているような気がする。ファースト、セカンドアルバムの頃はすごかったのに。それを知っているだけにここでのSwamp Thingとかは残念なんだよなあ。次のCounterpointもかっこいいんだからさ、2曲とも力を入れてくれ~

この頃のスパイロは若さがあって干からびていないし勢いがあった。このアルバムをピークにあとは惰性と手探りそして衰えを言い訳にしたスムースジャズ路線へとつながっていく。



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