2014年2月8日土曜日

青二才のころ 2 「対応できず」の巻



あまりにも青二才だったころの話、その2。

ベテランのピアニストQさんから頼まれて、ライブのトラをすることになった。今度のライブでQさんが都合がわるくなったので、かわりにギターで、ということだった。

そのころにはおいらもある程度経験を積んでおり、演奏そのものはそこそこできると自負していた。それが思い過ごしだとわかる日は、早くやってきた。

さて、そのバンドは普段ならスタンダード中心でリハなどやらないバンドだそうなんだけど、おいらがQさん並のベテランではないということで、ベースとドラムとそれからサックスの人(みんなベテラン)がリハをしてくれた。
「ということで、えーとこの10曲やるからね」

今だったら当然楽譜など不要、余裕で演奏できるスタンダードばかりだったけど、そのころのおいらにはなじみのない曲ばかりで、1週間後の本番のために猛練習してきた。

本番当日。早めに集まって直前リハというとき、ベースさんが「はい、今日の曲」と楽譜を渡してきた。
「え?今日の曲って、先週もらったやつでしょ?いまいきなりいわれても」まあそれでも楽譜があるってんなら、しょうがない、見ながらやるか。

直前リハでミスティをやったところ、「この曲はダレるから、AABAやったらまたBAやって終わりね」おお、50年代のヴァーヴのレコードで聴くパターンだな。OK、わかりました。全部で48小節だけね。

本番。当日追加の新曲もなんとかこなしたが、ミスティでついに崩れました。リハでAABABAといっていたのに、1コーラスのあと普通にベースとサックスがアタマに戻ったのだ。


まあ、理由はベースもサックスも当初の打ち合わせを忘れていただけなんけど、こういうときは本来ならおいらもそれにあわせればいいだけの話。でもパニックになっているおいらは アタマに戻っているにも関わらず「リハではBメロだといったはずだ!」と、執拗にBメロのコードを弾き続けた。曲がめちゃくちゃになった。

ライブ終了後のメンバー紹介のとき、MCを担当したドラマーさんが「今日だけのトラの、弁村くん」とやたら「今日だけ」を強調していたのが悲しかったね。

とまあ、かなり青二才のころの話だったんだけど、こういうときに「ああはいはい、Bメロにいくんだね」とか逆に「お、Bメロといってたけどアタマにいくのか、わかったわかった」と瞬時に対応できるのが普通のジャズマンだよね。その場であわせて破綻を避けることができて一人前だとおもう。

以前ロックの人と共演したときのこと。ボーカルの人が中間メロディすっ飛ばしてサビに入ったんで、おいらは普通に自分もサビのコードに移った。終わったあと、ボーカルの人には「間違ったはずだったけど、まったくそれがわからなかった」といわれ、ベースの人に「すごい!ボクなんかどうしていいかわからなくなりました」といわれたけど、すごくもなんともないし、「いやあ~おいらも青二才のころはそんなだったんだよ」と思った。いまだってまだ日々精進だよ。

余談だけど、NHKのど自慢のバックをしている皆さんは、歌唱者がオンチでキーをはずすと、瞬時にそのキーに移調するそうだ。ウソかホントかしらんけど。実際にそれを聴いたことはないけど、おいらはさすがにその域にはない(あたりまえだ)。マンガ「ブルージャイアント」でもそういう場面があったな。読んでいる人、覚えてるよね?

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