2014年2月26日水曜日

あるギタリストの肖像 2



ライブ当日。

開始1時間前に集まる約束をしていたのにT氏が来ない。当時は携帯電話などない時代だからひたすら待つしかない。
開始時間になってもこない。もう少しだけ、と繰り返しているうちに開始予定時間を30分もすぎてしまった。好評なライブだったのでお客さんは満員だった。仕方ない、彼抜きでやるか、と決めたときT氏がやってきた。

おいらもほかのメンバーもはすでに用意して楽器の前にいた。T氏は一言謝るでもなくおいらたちに首だけ振って「来い」という合図をした。控室にいくとT氏は両手をポケットにいれたまま足を大きく広げて長イスにどかっと座り「打ち合わせしようぜ」といった。

「ジャズだから打ち合わせなんかしなくていいから、もう30分も遅れてるし」
と、おいらがいうと

「押せばいいから」

おいらはこの時点で(やっと)怒りが頂点にきた。わざわざ聴きにきてくれているお客さんを無視して、自分が遅れたのを無条件に押し付けるやり方に腹が立った。そもそも態度に腹が立っていた。

T氏とここでケンカしてしまえばライブを聴きに来た方に申し訳がないのでこらえたが、打ち合わせとかいう意味のないものに参加はしなかった。

ライブ自体は滞りなく進んだが、MCまでかってでたT氏の調子にのった話はおいらを不快にさせた。
常連さんをいじるようなMCをしたんだけど、それが馬鹿にするかのような内容だったのにも腹が立った。
それでも最後の曲まで演奏した。やっとおわった・・・とおもったのもつかの間、T氏のMCが。

「それでは最後の曲・・・」

えっ?なに?何やるの?
彼は突然自分の弾き語りでフォークの曲を演奏しはじめたのだ。まさにギターをかき鳴らすというようなカッティングで。さらにメドレーでブルースの曲を弾き語り。

おまえのルーツはそこかと初めて気付いた。
おいらはそれ以来フォークとブルース(←ジャンルとしてのブルース)が大嫌いになった。

(まだつづくよ~)


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