2014年2月16日日曜日

フリージャズにまつわる悲しい思い出



おいらはフリーが嫌いだ。
たまに聴きたくなって買ってみたりするがやっぱり嫌いだ。
いいのもいくつかあるが基本的には嫌いだ。
完全なフリーが嫌いなのであって、フリーっぽいものはけっこう好きだ。

修行時代、小さな店でライブやらせてもらったりした。客入りは数人程度。
当時は青二才真っ最中、演奏技術のほうはまだまだであった。

そんなころ店にフリー・ジャズをやっているギタリストがきた。C氏という。
べつに聴きに来たわけではなく自分のライブのチラシを置きにきたのだ。
おいらは彼を以前から知っていた。技術がないのをごまかしてフリーをやってひとりで悦に入っているという噂も一部でながれていたけど、おいらより年上で頭があがらない存在ではあった。
といっても向こうはおいらなどしらない。初めて見る小僧だったはずだ。

おいらが弾いているとC氏が歩いてきた。

「貸してみろ」

イヤだったが当時若造のおいらは目上の人間ということで断れない。ギターをわたした。
するとC氏が力いっぱい弦を弾き始めた。弦が切れるんじゃないかというくらい強く弾く。それもデタラメを。まさにデタラメ、めちゃくちゃすぎる。本人はフリーのつもりだろうが「強く弾いている」ということ以外はまったく印象に残らない。
弾き終わっておいらにギターを返すと、

「こういうふうに弾きてえんだろ?」

思いっきりドヤ顔できいてきた。んなわきゃねえだろ!
しかし小心者の若造のおいらは

「は、はあ。そうっすね。ははは」

みたいに答えたのだ。いまでも恥ずかしくなる。
しかしそれよりも恥ずかしいのは、少ないながらもいた客の目の前でそんなことをされたということ。
なぜあのとき「そんなデタラメ弾きたくなんかねーよ、バーカ」といえなかったのだろうか。

うーん、悲しい。

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