2014年2月4日火曜日

恐怖!「一発」事件


コードチェンジを無視してひとつのスケールだけでアドリブをすることを「一発」という。

ジャズファンがロックに対して「ペンタ一発w」などと見下してつかうことがよくある。

見下すというのはよくないことだけど、実際、一発しかできないミュージシャンはジャズでは用無しだよね。コードチェンジができないということはジャズができないということになる。

そういう、一発専門のひとたちはスケール一発ならどんな曲でもできるのかとおもったらそうでもないようだ。
ブルース、ほとんどダイアトニック、マイナー系、などに限られる。

以前たのまれてライブを手伝ったときのはなし。
リーダーは60歳のペットでPさん。おいらがギターでドラムとベースは50代半ばでベテラン。すごくうまい。
そこに若い女ボーカルw

Pさんはいわゆる一発のひとで、ミュージシャンとしてはレベルが少々低いのだけど周囲が意見を言えない雰囲気というものがある。

ベースとドラムは人柄も技術も申し分ないけど、駆け出しのころPさんに世話になったので意見を強くはいえないという力関係。

選曲のときPさんは(本人は認めてないが)一発でしかできないので「ボーカルの曲はオレは参加しないから勝手にきめてくれ」といって席をたった。インストの曲は普通のスタンダードなのでその場で決めるというのがPさんのやりかただ。(といってもできる曲は決まってるからいつも同じだが。さらにいうと一発だから何をやっても同じ)
しかしこれが事件の原因となったのだ!

ライブは前半をインスト、後半はボーカル曲で最後の曲はまたインストという構成だった。
ボーカルは自分の出番の部分をうまくまとめて最後を「FALL IN LOVE WITH LOVE」でしめくくった。
MCもうまかったので盛り上がった。いよいよラスト曲、これは予定どおりインストだ。

Pさんがでてきて言った。
「じゃあ、FALL IN LOVE WITH LOVE

一瞬客席(けっこう入っていた)もメンバーもしーんとなった。耳を疑ったのだ。
意見しづらいがベース氏が言った。

「いまやったところだけど」
「テンポとキーがちがう」
「・・・・・」

普通であればここは阻止する場面だろう。しかしみんなわかっていたのだ。
一発で、しかも特定の曲しかできないPさんは、あとはこの曲しかできないのだ。
力関係もあった。やらざるをえない空気。

しかたなくおいらはイントロを弾き始めた・・・・



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