2014年6月14日土曜日

トンネルを抜けると


昔の話。

地方のホテルで演奏する話があった。12月か1月か忘れたが、とにかく冬だった。

大型のワンボックスカーにバンドメンバー全員の楽器を積んで1台で出発した。

ベースのWさんが運転していた。以前もそのホテルには行ったことがあるそうでみんな安心してまかせていた。途中で天気は雪になり、タイヤにチェーンを巻いた。Wさん以外は車のことなど詳しくないので何も手伝わなかった。すみません。

現地についたのは夕方だったけど、冬で日が短いのですでに真っ暗だった。というか、山奥(?)のせいかあたりには電灯などない。しかも猛烈な吹雪だ。いままで順調に走っていたかに思っていた車が突然とまった。Wさんが地図をみたりしている。

迷ってしまったのだ。真っ暗な心細い状況でさすがにみんな静かになった。
といってもWさんにまかせるしかない。おいらたちは未知の場所だし。

「よし、わかった」といってWさんがギアをいれて走り出した。吹雪のせいで視界がわるく、かなりゆっくり進んでいた。

なんとか目的のホテルについた。ホテルというより温泉旅館という風情だった。
時間に少し遅れたのですぐに演奏しないといけない。大急ぎで機材をおろし、幕がおりたステージに並べた。幕のせいで客席の様子は見えないがアルコールが少し入って談笑しているような音がする。
背広にネクタイ、革靴を履いてステージに立った。司会の声が聞こえる。「えー、ではみなさんお待ちかねの〇〇バンドです」みたいなことをいったとおもう。それを合図に幕が上がった。すると・・・

なんと眼前に広がっていたのは畳敷きの大宴会場。客はみんな湯上りで旅館の浴衣。どこかの会社の慰安旅行のようで、酔っぱらったおっさんたちがいっせいにおいらたちをみた。
しかしすぐに宴会モードにもどる。みんなまったく興味など示さない。あたりまえだよな。むしろおいらたちのほうが場違い。なぜか恥ずかしかった。そりゃそうだよねえ。




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