2017年3月3日金曜日

おいらはデクスター



20年以上前の話。

 セッションにGさんというテナーサックスのひとがきた。歳は40代半ばにみえた。隣の席に座ったのでいろいろ話したら、ずっと吹奏楽をやっていて最近ジャズに挑戦しているとのことだった。

彼の番になってブルーモンクをたどたどしいながらも演奏した。その後しばらくしてから別の人が枯葉をやることになり、ホストの人がGさんに入ってくれといってきた。Gさんはとりあえず了承したのだけど、自分のソロ番になったら一音だけプ~と吹いて「ダメだ、できない」という。
おいらが「大丈夫ですって」といったらまた気を取り直してプ~とやってまた「だめだ」という。結局Gさんは吹かずに終わってしまった。

「とりあえず適当にラシドレミファソラだけやってみればいいじゃないですか」といったら「テーマが吹けないのにイメージわかないよ」という。
「ジャズのアドリブはテーマのメロディなんか無視ですよ」
「いや、誰だったかサックスのひとも言ってるじゃん。『歌詞を忘れたから吹けない』って」
「デクスターでしょ。いやいや、ここにいるひとみんな歌詞なんか知らないから。歌詞知らなきゃ吹けないなんて理想というか伝説ですよ」
「そぉ?みんな歌詞をイメージしてやってるんでしょ」
「ちがいますって!」というやりとりをしたのを覚えている。ジャズをほとんど知らないのにへんなところにだけはこだわるGさんでした。




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