2014年1月6日月曜日

評論家に物申す



20年ほどまえに出版された「ジャズ地獄への招待状」という本に、評論家のいいかげんさが書かれているが、おいらからもいいたいことがいくつかある。

スイングジャーナル存命の時代、ディスクレビューで、フリーだとかマイルスの70年代サウンドだとか、万人向けの音楽でないものに限って必ず5つ星(満点)をつけていた評論家諸氏。どれだけのひとがこのレビューにだまされたことか。マイルスの70年代サウンドはおいらも好きだけど、あれが万人向けの音楽でないことは犬でもわかるぞ。

評論家先生もプロフェッショナルだと自認するなら、仮に自分が「いい」と思っても、素人に紹介するコーナーなのだから、万人向けでないサウンドに満点をつけるのはプロ失格ではないかな。まあそこで低い評価をつけるわけにもいかないだろうけどね、そのための文章によるレビューもあるのにそこでも絶賛するようじゃ素人はとても立ち行けない。

それから、マヘリア・ジャクソンやキャブ・キャロウェイなど、ジャズ誕生の歴史にとって意義があるもののジャズではないものに満点をつけていた某氏。ジャズ雑誌なのだから、ジャズという視点で判断すべきである。SJ誌はそもそも、これらの作品については紹介しても点数をつけない、エキシビジョンのような取扱いをすべきだったなあと今になって思うよ。
だってさ、初めてデビッド・サンボーンを聴いてジャズに興味を持ったひとが、次は雑誌で絶賛されていたマヘリアを買ったとしたらどう思うかな?「ジャズってつまらん」と思う可能性はあるよ。マヘリアがつまらないというのではなく、あれも結局音楽の1つの形態にすぎないのだから、ホンモノであろうが偉大であろうが万人にうけるとは限らないのだ。そこまで考えてくれないと。

ジャズ初心者がサキコロを聴いて感動して、次に何を買おうか、そうだ、雑誌のレビューを参考にしてみよう、というときに、あのザビヌル自身が「何をやっていいかわからなかった」といっている、睡眠薬のようなウェザーリポートの「ライブ・イン・ジャパン」を、満点評価だからといって買ってしまったら、評論家諸氏のせいでジャズファンの裾野を狭めることになるのだ。

どうしてこのようなことが起こるのだろうか。それは簡単、同業者や他のジャズファンに対してかっこつけたいから。
みんなが「よくわからない」と言っている作品を「おれは好きだぜ?きみたち、この良さがわからないのか」というのはかっこいいのだろうね。むしろおいらは初期の寺島氏のように「どれだけ多数のひとがいいといっても、自分はパーカーは嫌いだ」といっていることのほうがかっこいいと思ったけど。

しかし寺島氏、お勧めレコードに、入手困難盤ばかり選ぶのが困りますな。自分が持っているという自慢をしたいだけかな~と思うんだけど、とにかく評論家はおいらたち一般人とちがってジャズ初心者に働きかける力があるのだから、もっとジャズファンの裾野を広げる努力をしてほしい。ジャズファンが減ると一番困るのは自分たちではないかな。スイングジャーナルがなくなって、仕事なくなったんじゃない?



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