2014年1月22日水曜日

ジャズは「おしゃれ」か?



ジャズをおしゃれな音楽だと思っている人が多い。

おいら自身、「ジャズやってるんですか。今度聴きに行きます」なんていわれて実際に来られて、困惑して帰られたときがある。おいらは仕事ならともかく、好き勝手できるライブではおしゃれなジャズはやらないからね。

ちなみにそのとき演奏していたのは、ミンガスの「フォーバス知事の寓話」と、ハンコックの「アクチュアル・プルーフ」だった。そりゃ帰るわなw

確かにおしゃれなジャズというものはある。オスカー・ピーターソンなんか、おしゃれでムードもあるくせに音楽レベルも高いという、いうなれば「ずるい」くらいの演奏をする。

しかし、ジャズをあまり知らない人には「ジャズはおしゃれ」という印象をもってもらいたくないよね。電気による音量の増幅やディストーションの歪みからは縁遠いけどさ、ジャズはロックよりもよっぽど尖った演奏をするよ。

ロックやポップスの中には、曲想もアレンジもまったく夏っぽくないのに歌詞だけが夏で「夏の曲」とか言い張るものもあるでしょ。ジャズはそういうことができない分、ストレートに自分をぶつける音楽になるのだ。おしゃれという側面はジャズという氷山の一角、山芋の頭にすぎない。
だってさ、ジャズファンでないひとに何か1つだけ聴かせるとしたら、すごく迷うでしょ。ロリンズもいいけどジャズとはこれだと思われるとこまるな、エバンスもいいけどジャズとはこういうものなのだと思ってほしくないな、やっぱマイルスか、しかしマイルスは50年代と60年代と70年代と全然違うから1つに決められないよな、などと。それだけ幅広いんだよね。

ところで冒頭にもいったように、おいらは自分のライブでおしゃれ路線をいくことはまず99%ないけど、飲み屋などの仕事ではそういう曲を中心に選ばなければならない。しかし、それができない人も多いのだ。けっこうたまげる。

以前、飲み屋の演奏の仕事でのできごと。ギター、ピアノ、ベースという編成だった。開始前に曲目を選ぼうとミーティングをしたのだが、ピアノ氏が「まず、So Whatやりましょうか」といいだした。おいおい、飲み屋でいきなりそれはないだろ。みなさん「おしゃれ」を求めているはずだぞ。

おいらが却下すると、「うーん、じゃあインプレッションズはどうですか?」

おい!誤解を恐れずにいえば、さっきと同じ曲だろうが!さらに、テンポ的にはさっきよりわるい。

再度却下したら、「じゃあブルースにしましょう、イスラエル」

おいらはもう、ついていけなくなった。彼にはTPOというものをじっくり教えなければならないと思った。



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