2014年1月25日土曜日

「キャノンボールはモードを理解してない」?



ジャズ史上、初めてモードが大々的に取り上げられたのが、マイルスの「マイルストーンズ」だよね。

マイルストーンズ 

 ここでのキャノンボール・アダレイのプレイははつらつとしていて、いかにも彼らしい親しみやすい演奏になっている。ガーシュインの引用フレーズもあるし。

ところが、これと、それからこのあとの「カインド・オブ・ブルー」を聴いて、評論家がかみついた。

「キャノンボールはモードを理解していない」

え、どうしてそういえるの?演奏家のほうがえらいというつもりはまったくないけど、まったく楽器を演奏しない、音楽理論を知らない評論家にキャノンボールの何がわかるのだろう。

彼らの言い分はこうだ。「バップっぽい=モードをわかってない」確かにキャノンボールの演奏はバップらしさがあり、非常にスイングする。それがいけないらしい。
そしてコルトレーンやマイルスはバップっぽくないからモードなのだ、ということらしい。うーん、まったくもって意味不明。

トレーンなんてプレステージ時代からあんな演奏だったってば。フリークのおいらがいうのだから間違いない。

モードの解釈はそれぞれ。最初の頃は「モード上に成立しうるコードを自分で勝手に設定してそのとおりに演奏する」という方法論が一般的で、キャノンボールはそのようにしたにすぎない。

あるジャズ本にも「モードとコードを反する概念と考えることはナンセンス」とある。異次元の概念を並べていまそんな説明をするのも恥ずかしいくらいだよ。テレビとりんごの違いを説明しているようなもんだ。

もっとも、カインド・オブ・ブルーを聴いていると、マイルスよりエバンスのほうがモードをより深く理解して発展させようとしているように思われる。マイルス自身、エバンスからヒントを得たという説もあるしね。

その後、マイルスの2モード時代から、エバンス、そしてハンコックやショーターによるいわば「モード進行」とも表現できそうな数々の名曲難曲が生まれるのだから、ジャズミュージシャンの貪欲さはすごいね。

あまり知られてないけど、ジョージ・ラッセルはマイルスがモードを提唱する前からこのような曲をかいていた。さらにいうと、ビル・エバンスの「VERY EARLY」は大学生のころに書いたそうだ。すげえ・・・



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