2014年1月28日火曜日

ジャズボーカルとポップス



ジャズは許容範囲が広い音楽だ。
異なるジャンルの曲や音楽性を取り込んで、それでも純粋なジャズとして演奏することができる。例えばディズニーの曲、バカラックの曲、ビリー・ジョエル、などがよく取り上げられます。

ボーカルのひとがよくロックやポップスの曲をやろうということがあるんだけど、たいていはジャズにするとこうなる、というイメージをもっているわけでなく単に自分が歌いたいだけ、あとのことはバンドでやってね、という考えだったりする。

アコースティックなサウンドだからというだけで、ジャズバンドでやれると誤解するひともいる。
ナントカというJ-POPの曲を持ってきて、「あの、これピアノがアコースティックなんですよ。だからジャズっぽいので」とのたまう。それならアンジェラ・アキはすべてジャズになっちゃうわい。

「アコースティック」=「ジャズ」ではない。ついでにいうと、「ジャズっぽい」からといって、おいらが「ああそうだね、ジャズっぽいよね、バンドでできそうだね、そうか~いまのポップスにはこんなジャズっぽいのもあるんだ~」というと思ったら大間違いだ!「ジャズっぽい」=「つまり、ジャズではない」である。これは、ジャズではない曲をジャズで演奏するのとは似てまったく非なるものなのだ。キース・ジャレットがボブ・ディランを演奏するのはジャズだが、いくらオリジナル録音がアコースティックであろうとボーカルがやろうとしていることはジャズではない。それをわかってほしいな。

CDで音源を一度きかせられて「これやって」というボーカルがいた。
わるいがおいらたちは曲芸師ではないので一度きいただけで再現できる能力はない。もっともそんな能力があってもやらないけど。

どうしてもこの曲(当然J-POPね)をやりたいと駄々をこねるから「楽譜もないし、採譜もできない」といったら(実際はたいていのJ-POPは採譜など簡単だけどね)、「わたしのアカペラでいいので歌わせて」といったボーカルもいた。それじゃあ「ジャズじゃない」ですらないw

あるボーカルはやりたいJ-POPの譜面をもってきたんだけど、リットーミュージックのバンドスコアをB4に見開きで10ページくらいにコピーしたやつで、D.S.もコーダも2つずつありオタマジャクシも小さくて見づらいし、(ポップスだから)ギターはエレキとアコで二人、キーボード、ピアノ、ベース、ドラム、あと何かあったかな、とにかくTAB譜もついて10段以上のスコアだった。これを渡されて「はいよろしく」といわれてすぐにできるやつはいるのだろうか。だいいちそのときのバンドはギター・カルテットで4人だけ。つーか、そもそもこんな曲もってこないでよ~

これはもう、ミュージシャンの技術レベルの話ではなく、ジャズへの取り組み方、ジャズミュージシャンと楽譜の話だな。

自分で耳コピしてコードを書いてきたボーカルもいた。ボーカルとしてはいいほうだと思うでしょ。ところがそれを見てみると、最初の数小節だけ書いてあって真ん中5段くらいが空白。何も書いてない。

「どうすんのこれ?」
「てきとーに弾いて」
「・・・・・・・・」

弾けるか、ボケ!聴いたこともない曲だぞ!

以上の話は、信じられないかもしれませんが、すべて実際にあった話です。


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