2017年12月5日火曜日

あいかわらずウィントン



ウィントン・マルサリスが「電気を使う楽器はジャズじゃない」といったそうだが、相変わらず極端な意見で否定をするなあと感じた。だいいちなんで電気楽器はジャズじゃないのか聞いてみたい。

ビバップの創始者のひとりであるチャーリー・クリスチャンやウェス・モンゴメリーなどのギタリスト、ハービーやチックなどキーボード奏者、自身は電気楽器ではないがバンドで電気楽器を使用したマイルス、ウェインなど偉大な先人たちを否定しているわけだ。それと、ハモンドは電気を使うが、ジミー・スミスも頭から否定していることになる。
言われた彼らはおそらく「別にジャズじゃなくてもいいよ」というのだろうけど(マイルスは『おれの音楽をジャズと呼ぶな』と言ったしね)、ウィントンの言っていることは「ジャズ」という呼称ではなく、下等な音楽であり自分は認めないという意味だろう。あと、マイルスを今でも恨んでいるとかw 

好き嫌いの問題はあるかもしれないけど、その音楽の典型的なスタイル確立されたとき以降のテクノロジーを認めないってのは、まったく進歩のない考え方だよね。以前にもいったけど、「モーツァルトなんかダメ。古楽器しか認めない」という人に対して、彼はどういう話をするのだろうか。

ウィントンがニューオリンズ・ジャズをやっているのは「逃げた」と見えるのはおいらだけだろうか。技術はあるが明らかに過去の偉大なミュージシャンたちとは違ってジャズっぽさがない演奏しかできないということは、彼の演奏を聴いたことがあるひとならみんな知っているだろう。はっきりいってつまらないし、村上春樹氏のエッセイ「ウィントン・マルサリスの音楽はなぜつまらないか」の題名にもなるのだ。
ウィントン自身もそれをわかっていて悩んでいたことはハービーの自伝にも書かれている。ビバップ以降のジャズらしさを表現できない故にそれ以前であるニューオリンズジャズを演奏し「これがジャズのルーツだ」といって自分のほうが高尚だといっているように感じる。たまにバップらしさが出せずに「オレはスイングをやりたいんだ」と言っている人がいるが、それと同じか。

電気楽器を否定しているが、ビバップ以前の録音だってマイク一本に対して音のバランスがよくなるようにそれぞれの楽器の位置を録音前に何度もテストして調整していたのだ。電気で音のバランスを図るのと意味は同じだろう。電気即ち否定、というのは、思考停止でありレッテルだけで判断しているに過ぎない。

おいらがギタリストだからいうわけではないが、電気がなければ音量が小さい弦楽器などはジャズのなかでは生きていけない。ウィントンが言っているのは自分のプライドや立場を守るためと自分たち一派以外の否定という意図しか感じられない。暴力的ではないが、狂信的などこかの団体の構成員に似ているのかもしれない。彼がどんな大きな会場でもテレビ番組でもマイクなどの音響装置一切を使用しないというなら、根性だけはあると感じるけどね。いや、家でも電気を使わずろうそくで生活しているのなら、おいらは今から彼の軍門に下るわ。




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