2014年5月1日木曜日

Miles in Berlin




何度かこのアルバムに言及しているけどね、とにかくすごい。

マイルス・イン・ベルリン

ギタリストのアルバムでないのが残念だが、おいらはこのアルバムがジャズ史上最強のアルバム(の1つ)なのではないかと思う。

冒頭、いきなり300超の高速マイルストーンズ。トニーのドラムもすごいし、マイルスの非常に独特なフレーズも楽しい。しかし、この曲で聴くべきはハンコックだ。
とにかく、コード感(モード感とでもいうべきか)が違う。初演スタジオ盤と比べてもらえば一目瞭然。別の曲かと思うほど、自由にコードを決めている。というか、これがハンコックのモード解釈だろうな。ショーターのバックでもガンガンぶつけてくるが、自身のソロのときはテンポ感覚から何から、トニーと一緒になって縦横無尽に暴れている。消え入るようなプレイになったとたん、ブロックコードでフォルテシモのプレイに変貌するあたり、いかに彼が優れたプレイヤーかがわかる。

2曲目は枯葉。サムシンエルスのようなものを期待してると完全に肩透かしをくらうが、音楽の緊張感はそれの比ではない。マイルスのプレイはスタンダードのモード解釈を知るには絶好のものだ。ところどころ不思議な感覚に襲われる箇所に注意して聴いてもらいたい。
そして次コーラスにぐっと踏み込んでからショーターにソロが渡される。これがマイルスじゃないと、単に間違っただけに聴こえちゃうんだよね。
ショーターもすごいね。確かにショーター加入後からマイルスのスタジオ創作意欲がわくのがわかる。流麗な美というものではないが、信じられないメロディが枯葉から飛び出す。
ショーターのソロのラスト半分はハンコックとロンが仕掛けてぐっと盛り上げる。たまにはロンもやるね。

続いてSO WHAT。これもスタジオ録音とは打って変わって、別のタイプの緊張に満ちた演奏となっている。ソロになったとたんにテンポが変わるように聴こえるのは、テオ・マセロ得意の編集のせいだろうか。
ここでのハンコックのトリッキーなリズムはすごい。ロンも、さんざん演奏してきたせいもありラテン風のバッキングをして、単純な曲に彩をそえている。

で、次はステラ・・・え?なんだこれは?
そう、CDの「+1」では、ここにステラが収録されているのだ。が、ちょっとまて!テオ・マセロによるあの曲順はどうなった?なんだよ~追加曲なんてアルバムの最後に入れろよ!「テーマ」のあとでもいいよ、やめてくれ・・・

アマゾンのレビューではこのステラがあってよかったといっているけど、おいらは「収録からもれた演奏だけあるな」という印象です。

気を取り直して、ウォーキン。これまた初演よりおそろしくテンポ速いね。マイルスが思い切り「間」をいかした演奏している。ブルースを3行ととらえたとき、ラスト3行目をまったく吹かないというプレイを繰り返す。これがかっこいい。手癖だけでダラダラ演奏するやつは見習ってほしい。あ、おいらもか。
そして、ハンコックのソロにおいては出ました、テンポチェンジ。初めて聴いたときはかなりたまげた。現実にこれを打ち合わせなしでやるにはベースが主導しないと難しいが、ここではロンでなくハンコックとトニーが仕掛けたと思いたいw
ちなみにおいらはこれが気に入って、ライブでもたまにやっている。

と、かなりほめまくってしまったんだけど、相当いいアルバムなので、まだの人はぜひ聴いてもらいたい。ただし繰り返すけど、クッキンやサムシンエルスのイメージを期待してはいけない。まったく違う。マイルスがいかに進化していったかを知るにはそのイメージを持って聴くのもいいかもしれないけどね。



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