2014年5月9日金曜日

ドラマーとは呼びたくない、ドラムを叩くひとの話



前回のH氏とはちがう話なんだけど。

ピアノのGさんの仕事でパーティーのBGMみたいなことをすることになった。完全なBGMではなく、客が歌うといったらその伴奏もする。
伴奏用の楽譜をひとりあたりカバンに2つずつ持っていき、伴奏のリクエストがくるとGさんがすばやくページ番号だけ伝えてすぐにイントロに入る。おいらたちはソッコーで言われたページ番号を足元のカバン(分厚いカバンであらかじめ開いて立てておく)から抜き取って楽譜のとおりに演奏するという、慣れてないおいらにはスリルのあるものだった。
キーが歌手にあわないときにGさんが「4度上げね」などと言って移調しながら弾く。
おいらはギターだから移調はそれほど難しくはなかったけど、移調が大変なはずの管楽器のひとたちも平気な顔で書かれたリフを言われたキーに変えて演奏していて驚いた。みんなベテランでおいらより20以上年上だった。

そのときのドラムはJというひとでおいらより年上(また年上だ。当時のおいらは若造だったので年下などほとんどいなかったんだよね)で、急にトラできたのでほかのメンバーともあったのは初めてだった。

当日のリハーサルのときボサノヴァの曲をやったのだけど、ドラムがなぜかボレロみたいなのをたたいている。ビル・エヴァンスの「NIGHT AND DAY」でフィリー・ジョーが叩いているパターンみたいなやつだ。しかも案の定ハシるw またこのパターンだよ・・・
おいらはJ氏に「ボサノヴァですよ」と言ったのだが「うん、わかるよ」という答えで相変わらずヘンなパターンを叩いていた。彼はこれをボサノヴァだと思っていたのだろう。こんなやついるのかよとおもったね。同感だったのか、Gさんは黙ってボサノヴァ曲を封印したようだった。

本番が始まると、歌いたいというひとがたくさん出て休みなしで伴奏した。盛況で、よいことです。
 
なんだけど、10曲くらいやった頃だろうか。なんとドラムのJがおもむろに、

「いつまでやってるんだよ。少し休ませろや」といいながら立ち上がって会場の奥のほうへ歩いて行った。

ほかのメンバーが何もいわなかったのでおいらもだまっていて、そのままドラムなしで歌の伴奏を続けた。
しばらくするとJがもどってきた。手にはビールをもっている。そしてドラムセットにすわるとおいらたちが演奏していることなど関係ないかのようにビールを飲んでいた。

こんな非常識なやつがいるのだろうかと驚いた。しかもドラムの技術だってそんなにないのに。いや、むしろヘタなほうに分類されるだろう。前回話したHよりはマシだったけど。

その後どうなったのかはわからない。バンド間の険悪な雰囲気を感じたおいらは演奏がおわるとGさんに「ギャラはあとでいいです」といってすぐに退散したからね。もめごとの現場にいるのはごめんだ。



↓よろしければ投票してください!
 
音楽(ジャズ) ブログランキングへ