ある飲み屋で、レギュラーで演奏していたことがある。たいていの飲み屋の演奏は客がまったく聴いておらずまさに「ザ・仕事」という感じなんだけど、そこでは客が静かにジャズを聴きながら飲んでいるといういい雰囲気のお店だった。ギャラも悪くなかった。
ところが、ある日、お店側から「ギャラを下げたい」という要望があった。はっきりいってギャラ云々よりその店で演奏することが好きだったから、承諾した。
しかしギャラを下げてから、確か１年くらいでお店自体が生演奏を置かない方針になったとかで、バンドはクビになってしまった。
その直後、元同級生に会った。彼は立派な税理士になっていた。おいらが音楽をやっていることを知らないやつだ。そして、たまたまそのお店の話になったとき、こういった。
「ああ、あのお店ね。オレの税務顧問先なんだけどさ、経費削減のためにバンドの生演奏なんかやめろって指導してたら、ちゃんとやめたよ。よかったよかった」
殺意が芽生えた瞬間でした。
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