2014年7月9日水曜日

ロン・カーター 17



おいらの知り合いの話。

いわゆるバブル景気のころ、ロン・カーターがTVCMにでたりしていてジャズはオシャレだった。
当時、医療器具の営業をしていたDくんは中学生のころからロック一筋。ジミヘンを師と仰ぐ、バリバリのロック・ファンであった。

仕事は忙しく、日付がかわることはざらであったが若さと体力でまったく苦にならなかったそうだ。

ある日、夜9時ごろ仕事がおわり、会社の先輩にさそわれて飲みにいくことになった。
1軒目は普通の居酒屋に入った。Dくんはそこでしこたま飲んでいい気分になった。
2軒目に先輩が連れて行ってくれたところはジャズの演奏をしている店だった。
狭い店である。目の前にドラムがある。はっきりいってうるさい。ロックのライブのほうがうるさいのかもしれないが、いい感じに酔ってるD君にしてみれば未知の世界のジャズのドラムが目の前で鳴っているのは迷惑でしかない。
先輩はしきりにジャズのよさを説明するがD君にとっては馬の耳に念仏であった。この先輩の気持ち、ジャズファンにはわかるよね。

しかし「オレも社会人になったしおしゃれにジャズでも聴いてみようか」と考えたDくんは先輩にCDを貸してほしいと頼んだ。ところが・・・

後日、先輩が1枚のCDをもってきた。くわしくはDくんも覚えていないそうだが、それはロン・カーターの最新録音だった。
家に帰ってから再生してみる。テーマもベースが弾いたりして、かなりロンが前面にでたアルバムだったようでDくん曰く「うんざりした」そうだ。

ジャズに興味をもったひとに最初に何を聴かせるべきかなどと議論したことはないだろうか。コルトレーンの「バラード」は実は最悪の選択だよな、などと。おいらがおもうに最悪はロンのアルバムだとおもう。

当然、Dくんはジャズ・ファンにはならなかった。しかし20年以上たったいまでもロン・カーターのアルバムとアルバムのつまらなさは記憶に残っているそうだ。だいたい、この先輩もどうして初心者への1枚目にロンを選ぶのかねえ。




ああ、アルゼンチンの独立記念日なのにこんなネタにしてしまった。ガトーバルビエリとかホルヘ・ダルトの話題にすればよかったのにね。


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