2016年6月3日金曜日

飛び入り

小さな喫茶店とかでライブをしていた頃。おいらはあるバンドのサイドマンだった。

だいたいその地方というか地元のミュージシャンは横のつながりができるもので、 ライブの最中にふらっと知ってるミュージシャンが来て「1曲やらせてくれ」なんて言ってくることが多かった。そんなとき、リーダーはたいてい1曲参加させたりしていた。
「じゃあゲストでボーカルに入ってもらいましょう」とかいって。

おいらは、こういう飛び入りが大嫌いである。こっちはまがりなりにも曲順からステージングを考えている。それなのに飛び入りで参加されると、
「え、こんな曲できないよ。スタンダードならできる」

いやいや、頼んであんたに参加してもらったわけでもないのに、仕切る?こっちが今日は後期コルトレーンの曲でラインナップ組んでいるのに真ん中でいきなりフライミーなんて歌われたら、構成がだいなしでしょ。だいたいさ、地元のミュージシャンとはいっても特に有名人でもないわけだ。それを「スペシャルゲストです」なんていわれてもお客さんも「知らねえよ」と思うんじゃないのかな?

当時のバンドリーダーは飛び入りを絶対に断らない人だったので、飛び入りの常連みたいな人も出てきた。メンバーでもないのに毎回1曲歌うのだ。この人をWさんとしておこう。

あるとき、イベントでわりと大きめのステージで演奏することになった。お客さんの数も普段とは全然違う。みんなジャズなんかよくわからないんだろうけど、イベントだということで会場は満員。そこへWさんがやってきた。会場は満員だから、けっこう遠くから大きな声で「1曲歌わせてよ」と言った。
ステージにいたおいらはうんざりしたが、リーダーはさすがにこの場では違う、と思ったのだろう、無言で首を横に振り、最後まで無視し続けた。

ということで、オチがある話ではないんだけどね。




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