2014年3月17日月曜日

アドリブフレーズの作り方

ずっと昔の話だ。

トランペットのNさんというひとがいた。そこそこ楽器を鳴らすことはうまいんだけど、とにかくジャズっぽくない。しかし顔が広いようでいろんな仕事をとってくるので、おいらは臆面もなく彼のバンドメンバーとして小銭を稼がせてもらっていた。

Nさんの演奏をよくきいていると、いわゆる一発ではないんだけどアドリブがすごくつたない。アーティキュレーションもめちゃくちゃ。もしやと思って「昔吹奏楽部だったんですか」ときいたら、「そうだ」という答えが返ってきた。

Nさんと休憩時間でいろいろ話すうちに、彼がジャズについてはまったく知識がないということがわかった。まずリスナーとしてまったく話にならない。
「モーガン?っていうんだっけ?」ペッターのくせにリー・モーガンの名前に自信をもてないこともトホホだし、単語の語尾を上げる話し方もいらつくw
それと、ジャズに必要な音楽知識についてもびっくりするほどない。「一発事件」のところでも書いたけど、楽理を知らずにジャズ(もどき)を演奏するひとを、おいらはある意味尊敬する。よくできるな、と。
Nさんは、コードの知識はあるようなんだけど、それがジャズらしさにつながっていなかった。その当時はおいらは「吹奏楽部のセンスだからかな」と思っていたけど、いまになって改めて考えてみた。

Nさんは、「使えるスケール」という考え方しかしていなかった。コードとキーでコードスケールを適用させてメロディを作るのだけど、この方法は音のそれぞれの価値を無視するし、2度の動きが多くなる危険性があるし(昔のディメオラがそうだという話をきいたことがあるな)、悪い意味でコード感を失い、いわゆるジャズらしさがなくなる。

「どの音が使えるか」だけを知ってもジャズのアドリブにはならない。「どのように使うか」ということを、先人の演奏を研究して学ぶことが必要だと思う。 例えば、すごく初歩的な話をするなら、♭9度、♯9度の音を使えるよ、といわれても、それをやみくもに鳴らしてもしょうがない。まず♯9→♭9→ルートというテンション・リゾルブを知って「おお、なんかこれかっこいいぞ」と思うことでその他のフレーズ例や独自のフレーズが生まれてくる。

そういうことでがんじがらめになったからモードがうまれた、といって、一足飛びにスケールだけの考え方にいくのは間違っている。まずコードによるフレージングをマスターするからこそモード演奏が上手にできるようになるのだ。モードなんてかっこつけたって、結局どのスケールを使うかということだし、ましてや教会旋法だけをモードだと思っているとまったくつまらない演奏になる。

Nさんは、スケールだけでやっているわりには、一発モノの演奏がおそろしくダメだった。それこそ、ノリとセンスが吹奏楽で、4ビート曲のほうがまだましだった。それをポピュラーのリズム隊をバックにやると盆踊りのように聴こえる、というのがおいらが発見した真理だw


↓よろしければ投票してください!
 
音楽(ジャズ) ブログランキングへ