2014年4月28日月曜日

頭がかたすぎるピアニストの話



昔、Dさんというピアノがいて、ベースのソロならテンポがミディアム以下の4ビートの曲に限るという考えをもっていた。特に、ボサノヴァ曲ではベース・ソロと4バースはしないという固い信念(?)をもっていて、そういう曲では絶対にソロをベースとドラムにまわさなかった。

そんなころ、有名ボーカルの伴奏の仕事があり、最初の2曲をバンドでやるという段取りだった。たしか6人くらいのバンドでおいらとDさんもメンバーだった。

曲はたしかリコーダ・ミーかブルー・ボッサだったとおもうけど、ペット(Sさん)、ギター(おいら)、ピアノ(Dさん)という順番でソロをとった。ペットのSさんとおいらはピアノのあとベース(Fくん)がソロをとるものだとおもっていたんだけど、ピアノのDさんは「ベースのソロなんかとんでもない」と考えていてペットがリフに戻るのを待ちながら弾いていた。
ベースのFくんがまだ若いため、Dさんとしてはあまり好きではなかったのも理由のひとつかもしれない。
ペットのSさんはリフにもどるのはまだまだ先だとおもってステージ横にひっこんでしまっている。
Dさんはベースに回すべきでないと考えているからずっとソロをとっている。
当時のおいらは大ベテランのDさんに意見を言える立場ではないので「ベースにまわして」ともいえず、ましてやSさんの手前、おいらが強引にリフに戻るわけにもいかずひたすらバッキングをしていた。
かなり長くDさんがソロを弾いたが、それでもSさんがでてこないのでついに観念してベースにソロをふった。不自然で、異常を感じるくらいの長さだった。

おいらはDさんの頭の固さにうんざりした。ベースでもドラムでもなんでもいいじゃん。

若い別のベーシストが「ベースラインをコードの3度から始める場合もある」みたいなことを雑談のなかで言ったことがあり、そのときDさんは軽蔑した目つきで彼をみて「最低だ」と吐き捨てていた。

ある日、ミンガスの79年のアルバム(これ)みたいに2ベース&3ドラムで何かやろうみたいな話がでた。

ミー、マイセルフ・アン・アイ 

 Dさんはおいらたちを軽蔑するようにみて「そんなものは音楽じゃない」と一蹴した。

うーん、おいらたちがやるというのはともかくとしてもミンガスのこのアルバムとこれは最高にすばらしいとおもうのだけど。


サムシング・ライク・ア・バード


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