2015年4月1日水曜日

山下洋輔トリオ「モントルー・アフターグロウ」



 YOSUKE YAMASHITA TRIO “MONTREUX AFTERGLOW”



おいらの友人によると、フリージャズに対する思いはいろいろ錯綜しているものの70年代の山下洋輔トリオだけは文句なしに楽しめるそうだ。へえ・・・
その理由は山下氏の著書でも触れていることだけど、①とにかく最初から最後まですごいパワー、②フリーといいつつ曲構成の起承転結がしっかりしていて長時間でも飽きない、③エンターテイメント性、この3つが要因とのこと。これらは他の人にはみられない、基本的にみな独りよがりだと、彼はいう。

そういうこと知らなくてもこのアルバムは普通のフリーとはたしかにちがう。さらっと聴けばふつうのフリーなんだけど、ちゃんと聴くとそうじゃないことがよくわかる。あきないのだ。「早く終わってくれないかな~」という気持ちが起きなかった。一聴してフリーっぽいことでもじつは山下氏がデタラメではなく考えてやっていると伝わってくる。サックスは他のフリーと同様で高音域でブキャブキャやっているだけのことも多いが、ピアノが全然ちがう。こういう極限的な演奏を聴くとサックスなどの管楽器とピアノの、楽器としての表現能力の差があまりにもかけ離れていることがわかる。こればかりは演奏者の能力でもどうにもならない。

フリー・ジャズ・ピアニストではセシル・テイラーという先駆者がいるが山下トリオの演奏や音楽性はテイラーのものとは明らかに異なる。ほぼ才能の世界ゆえにメイン・ストリームよりも多様化しているといわれるフリーだが、この演奏を聴いていると76年の時点で自身のスタイルを完全に作り上げている山下氏にはいったいどのような苦労があったのだろうと思う。
しかしこのCD、1曲目の「ゴースト」が2分台と表記されているが実際は20分以上あるぞ。なかのライナーでも2分台で書かれている。2分で終わるフリーなんかあるわけないだろw





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