2016年8月25日木曜日

天国と地獄



このところエヴァンスの話が多い。書きかけてやめたボツネタもいくつかある。

さて、世の中には「終わってほしくない演奏」というのはあるが(おいらの場合コルトレーンのマイ・フェイヴァリット・シングスとかクインシーのテル・ミー・ア・ベッドタイム・ストーリーとか)始まってほしくない演奏というのもある。正確にいうとイントロが始まっているけどコーラスに進んでほしくないというやつ。60年代のエヴァンスの”NARDIS”がまずあげられる。60年代末のこの曲は何分間にも及ぶ長いピアノソロによる導入があるのが通常だった。これがまた素晴らしいのだが、その素晴らしさだけが「始まってほしくない」理由ではない。テーマやってそれがおわるとすぐにエディ・ゴメスによる無伴奏ソロが延々とつづくのがいつものパターン。ファンにはおなじみの展開だが、やはり最悪だ。


もう1曲もビル・エヴァンス。70年代以降の”MY ROMANCE”。これもエヴァンスが大変素晴らしい導入部をつける。東京ライブの頃はそんなに長くないけどベースがマーク・ジョンソンに変わった頃からどんどん長くなっていく。とにかくよい。もうどのテイクを聴いても涙が出そうになる。コンセクレイションなんか涙なしには聴けない。それほどよいのだが、この曲もテーマおわってからがあほな展開なのだ。ベースとドラムの無伴奏による1コーラス交換。1コーラスを4小節交換するんじゃないよ、1コーラスごとに交換だ。ひどすぎる。3コーラスくらいずつやるとやっとエヴァンス登場。さんざん苦痛を味わったせいかいつもの2割増しでよく聴こえる。おっと、話がずれたがどちらも天国にいるのに地獄が待っているのがわかるせいで「始まってほしくない曲」なのだ。


ちなみに、終わってほしくもないし始まってほしくもない演奏というと、ジャズではないけど、80年代のピアソラのキンテートによるアディオス・ノニーノだろうね。ピアノによる導入も本編に入ってからも完璧な演奏が続く。


↓よろしければ投票してください!

音楽(ジャズ) ブログランキングへ