グラント・グリーンの最高傑作で、大名盤だ。ブルーノートサウンドの集大成ともいえる。それだけ素晴らしいアルバムですよ。
グラント・グリーンは和音をめったに弾かないギタリストとしても有名だよね。コードを弾いているレコードを1回だけ聴いたことがある。たぶん。
有名なエピソードだけど、このアルバムは3曲録音したあとに、半分遊びでデューク・ピアソンの小品を演奏したらあまりにも名演になってしまい、急遽収録しようということになった。しかし全員がノリに乗った演奏で14分にもなったため、これを収録するために先に録音していた曲を短くして録音しなおしたそうだ。
その名演が、タイトルチューンの「アイドル・モーメンツ」なのです。アフター・アワーズという言葉がぴったりくる深夜のサウンド。グリーンのギターのアーシーなメロディが終わり、ピアソンのピアノソロが続く。そのあとジョー・ヘンダーソンの、深夜を切り開くというよりは闇の中からささやくようなメロディがボソボソと入る。この瞬間がすごくかっこいい。そしてジョーヘンのあとには、きた!ボビハチことボビー・ハッチャーソンのヴァイヴだ。ミルト・ジャクソンよりドライなのでおいらは好きだ。
2曲目はグリーンの作曲。グリーンを個性一発のブルースギタリストもどきと考えている人はこの曲を聴いてその評価を修正してほしい。
ラストの曲はピアソンによる「ノマド」。トリッキーなテーマのあとジョーヘンのソロになる。ジョーヘンはかなりこの曲がやりづらいらしく、何度も間をとって仕切り直すし、フレーズもどう攻めていいかわからないという感じになっている。自分のソロに納得がいかず、ひとりで何コーラスもやり続ける。こういうことあるよね、「あれ、うまくいかないなあ」というときに取り戻す目的でついつい長めのソロをしてしまうこと。
グリーンもうまくまとめてはいるが、コードがこまかく変わる箇所は手癖だけで処理している。
おいらもこの曲をライブで1回だけやったことがあるが、何が大変かって、まず採譜するのが大変だったw
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