2014年1月3日金曜日

単音楽器の嘆き 2



(つづき)

ライブの途中でMCが入った。

「え~では、ここでメンバー紹介をします。まずギター、弁村譲二」

ジョー・パスやハファエル・ハベーロみたいな演奏はできないから、コード・カッティングみたいなことをしてお茶を濁した。それでも2分くらいか、長かったぞ。ギターの場合は和音がでるからまだいいよ。問題は次です。

「つづいて、サックス、○×!」

サックス氏は観念したかのように目をつむり、ブキョブキョと吹き始めた。スタンダードの原曲メロディをやるとわかりやすいのかもしれないけど、こういう場面ではキースのようにまったくのアドリブでないとかっこわるい。

しかし単音楽器、最初の10秒くらいはなんだかかっこいいと思っても、しばらくすると意味わかんないし知ってる曲ってわけでもないし、たまに出てくるフラジオ音域がむしろ気に障って、どう考えても客にはうけていない。

サックス氏はそれを肌で感じたのか、1分程度で終わろうとしてチラとボーカル女史のほうを向いた。

すると、なんと!ボーカル女史はむしろ嬉々としていて、手をぐるぐる回して(もっと続けな、という合図)いたのだ。うーん、あんなの何がおもしろいのだ。

サックス氏の二度目の地獄が始まった。後半の彼はヤケクソだった。最後はアルバート・アイラーになっていた。

しかし客にとっての本当の地獄は、このあとのベース無伴奏ソロだっただろうな。ロン・カーター状態だったよ・・・



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