以前、日本の古いポップスをやることになり、知り合いから女性ボーカルを紹介してもらった。そして、バンドとボーカルで一度会って曲の譜面や音源を渡して1か月後にリハーサルをすることになった。おいらはそのボーカルの名前は知っていた。歌を聴いたことはなかったけど。
そして1か月後。
楽器の人たちは当然ながらちゃんと仕上げてきた。あたりまえだよ、足をひっぱれば時間的にもみんなの迷惑だから。それがミュージシャン。ほめられることではなく最低限のことでしょ。「できて初めて0点」だよ。
おどろいたのはボーカルですよ。曲は3つしかないのにとりあえずあわせてみたら全然ちがうメロディを音程はずしながら歌う。「なかなか時間がなくて」などというおきまりのいいわけをするのだ。1か月もあったのに。日本語の歌だから語学的な問題はないはずはないんだけど。てか、仮にスワヒリ語であったとしても、自分で選んだ曲でしょ~?
しかたなく「じゃあ、いちばんできる曲をやろう」といって本人に別の曲を選んでもらった。しかし・・・
全然ダメ。音がところどころちがってヘン。オンチが歌っているように聴こえる。ほんとにこの人が名の知れたボーカルなのかな。不安に思ってきた。山上たつひこだと思ってたら山止たつひこだったとか(この名前を知ってる人はかなりデキるよ)。
これじゃあリハにならんなあとみんなが思っていたときに彼女の携帯電話が鳴った。
「もしもし?ああ、うん、うん、」と話しはじめる。口調が上からっぽくなってるので格下扱いの相手らしい。
「え?まあ歌ってあげてもいいけど。ワタシ忙しいからさぁ、みんなでちゃんと練習してあとはわたしが歌うだけでいいって状態にしといて!」
このセリフにはみんながなにかを感じたようだ。そうじゃないだろ、何様だよと。
電話を切った彼女はおいらたちにむかってこういった。
「あのぉ、わたし、ぶっちゃけバンド10個以上やってるんですよぉ。だから忙しくて練習できませんでしたぁ」
・・・・そんなことはできない言い訳にならないし、バンドをたくさんやってるというがバンドメンバーはあんたのほうをメンバーだとは思っていないんじゃないの?。1ステージに2曲くらい歌うという刺身のツマみたいなポジションじゃないのかな。
こういうのを「音楽をなめてる」っていうんだろうねえ。
最後にこれだけ言わせてね。