青二才のころ。
大ベテランのピアニストNさんから、歌伴の誘いがあった。これまた大ベテランの歌手Bさんのバックを大きめのレストランでやるという。おいらなんかでいいのか?と思ったが、いいチャンスだから引き受けた。
当日、夜20時。Nさんのほかにベースさんがいた。あいさつをしたら歌手のBさんも出てきて、「今日はよろしくね!」と気さくに声をかけてくれた。緊張してるのはおいらだけだ。
Bさんが、
「最初はインストで1曲やって、そのあと私が出てきます」と言ったので、じゃあインストで何をやろうかという話になった。
おいらはそのころ、ようやくスタンダード曲を20くらい覚えていたという状況だったので、楽譜集を持ってきていた。それでも覚えている曲の方がいいと思い、
「アナザー・ユーとかやりますか?」と言ったら、Bさんが、
「うーん、その曲は私も歌うから」と言った。そういやそうだった。
するとNさんが「our love is here to stayにしよう」と言って、一気に決まってしまった。「弁村くん、テーマやってね」
まずい。この曲は覚えていないなあ。ということで、楽譜集を開いて準備をした。
開演時間となり、Nさんがバンドに合図をする。さあ演奏しようと思った矢先、なんと演出で、会場の明かりがすべて消えた。
おいら最初のひっかけ3音と、そのあとの全音符を出したあとは、もう覚えていないのでいきなりソロでごまかそうとしたが、あの曲、一発ではできないでしょ、コードも覚えていないからめちゃくちゃでした・・・
ちなみにホール担当のお兄さんが事情を察して、すぐ電気をつけてくれた。暗くなったと思ったらすぐ明るくなって、演出しては半端でかっこわるかったけど、許してください。これ、お兄さんがジャズを知らなかったら、「変にぐちゃぐちゃしてるけど、こういう曲なのかな」と思われて終わりだったよねえ。
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