2015年1月5日月曜日

なぜか DVD : チャールズ・ミンガス、ビル・エヴァンス




BILL EVANS TRIO, CHARLES MINGUS “EUROPEAN NIGHTS 1964-1971”

ビル・エヴァンスとチャールズ・ミンガスという正反対のようなふたりの音楽がなぜかカップリングされているDVDであるが、内容は大変すばらしい。全編白黒なのがまたよい。まさにジャズという感じ。

ビル・エヴァンス・トリオは年代のちがう3種類のトリオが収録されている。まずはペデルセンとアラン・ドーソンとのトリオにリー・コニッツが加わったもの。65年のペデルセンは70年代のようなひげ面ではないので、いわれなきゃわからないくらい。ベースのピックアップがない時代ではあるがすでに速弾きで右手も左手もよく動く。アンプを使用していないので70年代以降とはあきらかにピッチカートの仕方が異なっているのが興味深い。アラン・ドーソンはあまり知らなかったがバッキングもよいしソロが歌っている。ドラムで歌っているというとヘンな感じだがそう思わせてしまうすばらしいソロである。
何よりも、エヴァンスとペデルセンという組み合わせは珍しい。

つづいてチャック・イスラエルとラリー・バンカーとのトリオで”MY FOOLISH HEART”
一か所イスラエルが間違っているのがわかる。イスラエルはビル・エヴァンス・トリオの歴代ベーシストのなかではおとなしいイメージではあるが、技術的にも優れた人でエヴァンスも気に入っていた。フィリー・ジョーと同様、トラの第一候補だったようだ。おいらも大好きなんだが、某評論家が書籍でボロクソにいっていた。わかってないなあ。

最後は悪名高い(?)ゴメス=モレルのトリオ。70年だ。そう、このトリオはちょうどこのあたりからだんだん良くなってきたと思う。ゴメスの右手はおなじみの「エレベ弾き」。速く動くのはいいがもう少し落ち着くともっといい音楽になるのになあ、といつも思う。

ミンガス・バンドは2種類入っている。「直立猿人」でのジャキ・バイアードがとにかくよい。曲を完全に理解している演奏だ。バイアードをB級といったどこかの評論家にきかせてやりたい。もうひとつのバンドではジョン・ファディスが参加しているが、ディジーと同じようにアサガオが斜め上を向いたトランペットを使っている。ハイ・トーンを難なくきれいに響かせるあたりに実力を感じる。必死にだしている感じがしない。しかしここでの白眉はドラムのロイ・ブルックスのミュージカル・ソウである。わかりますか?あのノコギリを叩いて音をだして曲げて音階を調節するやつね。最近では楽器屋に売ってるよね。あれをやっているのですよ。パフォーマンスとして最高。なかなかうまいしお客さんにすごく受けていた。

ということでこのDVDは「買い」だと思います。



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