昔のはなし。
ピアノが置いてあるスナックで週に一度演奏していた。ピアノとギターのデュオ。ジャズの店ではないが70年代に開業した古い店だった。景気がいいころは毎日満員御礼で、そのころはドラムとベースをいれてかなり盛り上がっていたらしいけど、おいらがやっていたころは不景気でジャズ自体が見向きもされない頃。演奏も週末だけという状態だった。
狭い店なのでママさんだけで他に従業員はいなかったんだけど、とにかく客が入らない。店を知ってる人間は古いし値段も高いから入らないし、知らない人間は入りづらい店の雰囲気に余計に入らない。ママさんとピアノとおいらだけという状態で特に話すこともなく時間だけがすぎていくなんてことがよくあった。
ところがママさん、まがりなりにも昔は客がよく入ったもんだから、今現在が閑古鳥状態なのをおいらとピアノにいいわけする。
「日本シリーズだからねえ」とか「Ｊリーグが始まったから」とか「ワールドカップの野郎がわるい」などある程度大きなイベントがあれば理由になるんだけど何もないときは「今日はナイターがあるから」とか「向こうの店も入ってなかった」とか「今日は暑いから」とか言い出して返事をするのにかなり困りました。このいいわけを集めて本にしたら売れるかも。「ビジネスマンのための、困ったときのいいわけ集」とか。あ、もうそういうの出ていたな。
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