2014年3月8日土曜日

ピアノレスについて思うこと



コルトレーンのヴィレッジ・ヴァンガードを久しぶりに聴きました。やはりすばらしい。

ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード 
 トレーンがピアノレスで演奏するのは、ピアノによるコードの制約から解放されるため、と日本盤CDのライナーで岩浪洋三氏が言っているけど、確かにトレーンについてはそうなのかもしれない。

ソニー・ロリンズのピアノレス、ジェリー・マリガン&チェット・ベイカーのピアノレスなどほかにもピアノレスはたくさんある。おいらの大好きなグラント・グリーンもピアノレスアルバムを吹き込んでいる。ギターはコード楽器でしょという声も聞かれそうだけど、いやいやソロを演奏している最中にコードを弾きまくるわけにはいかないし、なんといってもグリーンだからね、ピアノレスといっていいでしょ。

ロリンズやマリガンについては当初からピアノレス志向だったわけでなく「当日ピアノがすっぽかしから」という理由らしい。もっともロリンズはその後ピアノレスが気に入ったそうだね。

トレーンが「音がぶつかるから」という理由でピアノをはずしていたというのは、時代を感じさせる話だな。例えばコルトレーン派といわれるマイケル・ブレッカーなどはむしろコードをしっかり鳴らして、そのうえでアウトフレーズを持ってくることで、不協和を楽しませるプレイをしていた。リズムセクション側のキー、コードがしっかりするからこそジョンスコのようなアウトが生きるのではないかと思う。時代が下るにつれてそのような考えが主流になってくる。フリーをとってみても、まったくの混沌を生み出していた60年代と、アダムス・プーレン・カルテットの音楽は違う。後者はあえてズレを生み出すことによってすごくかっこいいサウンドを作っていた。考え方の変遷なのだなと思う。

余談だけど、ジャズ界でもっとも有名なピアノレスといえば、やはりバグス・グルーヴのマイルスとモンクの話。あれももしかしたらマイルスが何らかの飛躍を狙っていたのかも・・・なんて思ってみても、実際に採譜してみるとおかしな音遣いをしてるわけではないんだけどね。


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