2014年3月28日金曜日

「『枯葉』も知らないボクでしたが」・・・


いまの若い人はわからないだろうが昔はジャズの教則本などはなかった。
アドリブはどうすればいいかなど書いてある本はなかったのだ。
渡辺貞夫さんの「ジャズ・スタディ」なら文字通りジャズがわかるのかと思って高い金払って買ったとしてもそこにはアドリブのことなどはまったくでていないのだ。トホホ。

いまは楽器別にアドリブの手引書みたいなものが出版されていて世の中かわったなとしみじみ思う(批判ではないよ)。メロディ・フェイクの手法が10種類以上書いてあって、さらにそれらに名前がついているのにも驚く。昔からあったのではなく近年に体系づけられたものだと感じる。

でもこれらの本のとおりに練習すればかっこいいアドリブができるようになるかは疑問。恵まれていたウィントンより音楽学校出でないヴィンセント・ハーリングのほうがいい演奏をすると感じるのはおいらだけだろうか。

そもそも、教則本だけでなくジャズ曲の楽譜というものもなかった。
ミュージシャンは曲を覚えるか、またはメモ帳と呼ばれるA5くらいのサイズの五線紙に手書きで曲を書き込んで持ち歩いていた。修行時代のおいらは新しい曲を教えてもらったらメモ帳に書き込んでいた。

まだ「枯葉」すら覚えていないホントに青二才のころ、どこだか忘れたけどホテルのパーティーで演奏することになった。
テナーサックスのOさんがとってきた仕事であとはベースとドラムで合計4人。

事前にきめておいた曲を楽譜とメモ帳を見ながらなんとかこなしていった。そろそろ演奏もおわりというころになったら客の一人が「枯葉」をリクエストした。
Oさんが「じゃあ枯葉ね」とバンドに言って出だしを吹こうとした。

まずい、当時おいらは枯葉を知らない(ちなみにブルースのコード進行も覚えてなかったw)。曲は当然知っているがキーが何かすらわかってないくらい知らなかった。メモ帳にも書いてない!Oさんに「ちょっとまってください」といっておいらができないことを伝えた。するとベースのPさんが「じゃあオレの楽譜みなよ」といって彼のメモ帳を渡してくれた。安心した。これで大丈夫だ。Pさんの文字は汚いがまあ読めなくはないだろう。

Oさんのアウフタクトで曲が始まった。その瞬間おいらはおかしいことに気付いた。Pさんのメモ帳に書いてある枯葉は妙に短い曲なのだ。「ん・・・?8小節しかない」
勘のいい人はたぶんわかるだろう。枯葉はおおざっぱにいうとBメジャーの逆循環4小節とGマイナーの逆循環4小節を順番入れ替えて演奏すればいいといえる。
Pさんのメモ帳にはその4小節2種類が書いてあるだけだったのだ。当時そんなことすら知らないおいらはあせりまくった。そのときどうやったのか記憶がまったくない。おそらくめちゃくちゃやったのだろう。すくなくとも最初の16小節だけは合っていたはずだw

おいらがまったくちがうコードを弾いているのに平気な顔をしてソロを振ってきたOさんはすごい神経してるとおもう。



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