2014年3月23日日曜日

最低のライナー

買ったCDの日本語ライナーが油井正一氏のものだと、すごく得した気分になる。とにかく内容がおもしろいから。おいらにはきらいなジャズ評論家も多いので、おもしろいライナーは貴重だ。

おいらがこれまで買ったCDの日本語ライナーで最低最悪のものを次に紹介しましょう。
おいらがまだ学生で、カネがまったくなかったころ、それなのにジャズのCDが3千円もしたころ(!)、デイブ・ブルーベックの「Dave Digs Disney」というアルバムを買った。 カネがないから、CD屋で2時間くらいあれにしようかこれにしようかと迷った末に選んだアルバムだ。

で、結論から言いますけどね、評論家の粟村政昭というひとがライナーを書いてるんだけど、これが最低なのですよ。こっちが期待して買ったブルーベックをボロクソにこきおろして1人で満足しているというもの。冒頭、アルバム自体は傑作だとしながらも、曲の紹介ではブルーベックをこきおろす。

「キザったらしいブルーベック・フレーズをちらつかせながら」
「変拍子はジョーモレロの才能の浪費あるいは乱費にすぎなかった、という筆者の自説を再確認」

曲紹介のあとのフリータイムではブルーベックの経歴を紹介するのだけど、ここからが絶好調。

「ダリウス・ミヨーの弟子と自称するこの青年が派手にひけらかすブロックコード」悪意感じるでしょ。
「今となっては技術的にもジャズ的なセンスにおいても薄っぺらなクラシック音楽のアダプテーションとしか見えない」
「光栄にも『退屈』ならぬ『高級かつ難解』風の評価を受けた」
「賢明なる彼はこうした一時のめくらましから聴衆が目覚める以前に、静澄そのもののデズモンドのアルトを押し立てて」
「無限のアイデアを織り込んでいくデズモンドのソロに続いてブルーベックがたたき出す奇怪なブロックコードの乱打がバカバカしいくらい熱狂的な拍手をもって迎えられているのに驚かざるを得ない」
「クラシック音楽の借り着」
「ブルーベックの政策は皮肉を抜きにして鮮やか」皮肉でしょ。
「よいのかわるいのかわからないがともかく人気のあるコンボとしてリーダーズ・ポールの首位にのし上がった」
「これを指して変貌と呼ぶのはあるいは好意的に過ぎる表現であって、実はこの時点においてようやくブルーベックはジャズピアニストとして第一線の後陣に追いついた」

などなどなんだけど・・・あれ?久しぶりに読んでみたら、そんなにむかつかないなw



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