2014年12月1日月曜日

言い尽くせない、衝撃の映画「バード」



 
“BIRD”

映画「バード」を20数年ぶりにみた。初めて見たときは期待外れでつまらなかったが、おいらも年齢を重ねてものの感じ方がかわったかもしれないと思い、再度見ることにしたのだ。
公開当時ガレスピーがインタビューで「あんなくだらない映画はみてないよ!」と憤慨したそうだよね。今回、レンタルでは見つからなかったので仕方なくアマゾンで買った(中古だけど)。

とりあえず最初の40分くらいみたがすげえつまんねえ。なんだこりゃ?演技も監督も脚本も全部ダメ。いいのは音楽だけ。しかもその音楽も、ミュージシャンが主人公の映画のわりには少ない。
当時は主演俳優の演技がパーカーのオーラを表現していないとか酷評されていたけどさ、オーラとかそんなレベルじゃない。サックス吹くには動きが不自然すぎる。前のめりになってワキをやたらと開いたりする。あんなやつはいねえ。
マウスピースのくわえ方からしてなってない。ガレスピー役の演奏シーンがそれに輪をかけてド下手。笑ってしまう。さらにそれに輪をかけて脚本と監督がひどい。全責任は監督にあるよ。
役者はミュージシャンではないから本当の動きなどできないけどさ、イーストウッドはジャズ好きで知られているわけだし、アメリカに住んでいて金ももってるんだからもっと観察してくれよ~。テキトーに指動かしているだけでは本当に吹いているようには見えないよ。
ガレスピー役の人はディズニー映画「リトル・マーメイド」のセバスチャン役のひとなんで歌唱力はすばらしいんだけどね。

90年代かとおもっていたけど88年の映画なんだね。もっと新しいとおもっていたよ。しっかし、ジャズの映画なのにまったくジャズを感じないのはどういうことだ。何気なくパッケージ裏みたら160分と書いてあった。このくだらねえのがまだ2時間もつづくのかよと思いましたわ。演技はとりあえずおいといてもミスキャストだよなあ。あんなデブはパーカーじゃないw 猫背でオクターブキーを押すたびにワキがあがるようなドヘタはパーカーではないぞ。

だいいち、いくらファンがみたとしても、冒頭のチャンとのやりとりは理解不能だろう。くたびれて帰ってきたパーカーに冷たくあしらうチャンが突然「ごめんなさい」とかすりよったかと思ったら、となりの部屋で泣いていたはずの赤ん坊の存在が消えてなぜかパーカーが服毒自殺を図る。はぁ?
おいらだってパーカーが好きでいろいろエピソード知っているけどさ、そういった小さなエピソードを断片的に並べて、意味のない会話と意味のないセリフによる意味のないシーンが延々とつづく。見ている側が意味がわからないのに知ったかぶってかっこつけているようにしかみえない。

だいたいさ、かみ合わない会話でずっとケンカしている夫婦なんかみたくないよね。有名なラバーマン・セッションのシーンもあるけど、監督の自己満足でいれているとしか思えない。なんの脈絡もなくいきなりラリっているレコーディング・シーンいれてそれに何の意味があるの?そういう映画だといわれればそれまでだけどさ、なんというかそれならそれでもっとうまい見せ方があるんじゃないかな。

それにしてもパーカー役のフォレスト・ウィティカーは「ラッシュ・ライフ」でも死んでいくジャズ・ミュージシャンの役だったな。あれはトランペットだったけど。

今でこそ名監督として評価されているイーストウッドだが初期のころは最悪だったよ。おいらはダーティーハリー4ではじめてイーストウッドの監督映画を見たのだがすごく勉強になったね。「ダメな監督による映画とはこういうものか」ってね。今はかなり高く評価されているけどね。

最後のシーンで「すべてのミュージシャンに捧ぐ」と画面にでるのだが、まるでこの映画のくだらなさを受け入れさせるための免罪符のようにみえる。

最後にひとつ。チャンが映画の中でずっとタバコ吸ってるのがいやだったね。乳母車押してる時もひたすらタバコ。あほか。事実がそうだったとしても、いやなものはいやですわい。あ、それと出演はしてないけど、演奏ではロン先生も参加しています。



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