何度かいっているけど、ウェス・モンゴメリーが楽譜を読めなかったというはなしがある。でも、あれは間違って伝わっているのではないだろうか。
初見でばりばり弾くということはできなかったかもしれないだろうけど、まるで楽譜に対して盲目のようにとらえられている。さらに、「楽譜が読めなかったからいい演奏ができた。読めたらそれに頼ってしまい平凡だったはずだ」というよくロック系にありがちな話まできく。
じゃあなにか?彼の膨大なレパートリーは全て耳コピ(この言い方いやだねえ)でリフもコード進行も全部そうやって覚えたのか?えらい時間がかかるねえ。たしかに耳で聴いて覚えた曲もあるだろうけど普通に譜面は使っていたはずだ。それにさ、コンボでやっていたころはそれでできたとしても、CTIとかヴァーヴのオーケストラのアレンジものはどうなの?慣れないポップ曲をまず耳で覚えてオーケストラ用の構成とアレンジをだれかがピアノかなんかで聴かせてそれ用に自分が覚えたリフを変えて、とかやったのかねえ。伴奏したりリフ弾いたりけっこう凝ったようなやつもあるけど、それも一切譜面を頼らなかったのかねえ。といいたい。
だいいち、ソロフレーズを聴いていれば、読譜というか楽理をまったく理解していないひとのそれではないことにすぐ気付く。ある程度でもコードの理論を知ってアドリブするひとと、音感だけでテキトーに演奏しているひとのフレーズは全然違う。そして、コードの理論を知っていてまったく楽譜が読めないということはありえない。
バーニー・ケッセルとの対談で
「きみは楽譜を読めないことを大切にすべきだ」
「うん、そうだね」
みたいなのがあるけど、ここでも「読めない」ということの意味を文字どおり受け止めない方がいいし、何よりも、話題づくりのためにわざと「読めない」ということにしている可能性も検討すべきだ(おっと、何かの報告書みたいな口調になってしまった)。
ジャコは「初見で演奏できないのであれば、それは読めるとは言わない」と言っていた。
まあ、ウェス師匠の歌心は抜群で、他のミュージシャンをダントツでしのいでいることは間違いない。
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