昔あった話。
おいらがバンドのサイドマンだったとき、地方のイベントでライブをやるという仕事があった。バンマスに集合時間をきいたら、「音合わせがあるから、本番1時間前、16時に現地で」ということになった。
少し早く、15時半頃に到着したのだが、ライブができそうな場所などどこにもない。どうしたのかな?と思っていたら、主催者側らしき人から声がかかった。
「バンドの人?」
はい、と答えて話を聞いてみると、そこらのすみっこで演奏しろということらしい。まあ、ポップスではないし場所はどこでもいいや・・・と思っていたのだが、なんと、PAも電源もないということが今になって判明した。もしうちのバンドにボーカルがいたらどうするつもりなのか。主催者がわるいのかバンマスがわるいのか。
少し遅れて、ピアニストF氏が到着した。生ピアノがあるわけないとは思っていたからキーボードを用意してきたが、ご存知のとおりキーボードはPAがなければ音が出ない。F氏はいらいらしている。「オレ帰る!」とか言っている。うーん、主催者がわるいのか確認しなかったバンマスがわるいのか。
しばらくしてバンマスが来た。バンマスもPAがないときいて、愕然としている。しかし、バンド演奏イコールPAが必要、と考えること自体がバンド側の傲慢なのかもしれない。
とはいえ、電源もない。はるか遠くにコンセントがあるらしいが、コードリールがないから届かない。さすがにバンド側の傲慢という要素があったとしても、主催者側もあまりにも無知なのではないかと思い始めていたら、ベーシストが到着した。
ベーシストはけっこう長い延長コードを常備していたのでまず電源はそれでOK、さらにアンプが2ジャックだったため、キーボードをつないで、なんとかアンプからベースとキーボードの音が出るようにして、演奏できるようになった。
17時になり、おいらたちは演奏を始めた。しかし、イベントなのに客はほとんどなし。 主催者の告知がなされていないのか、しょせんジャズなんてみんな興味がないのか。とにかくがっくり来る仕事だった。
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