このアルバム以降、スパイロはキャッチーな曲がなくなる。いろんな意味でこのアルバムは重要なのかもしれない。つまらない印象があったが、改めて聴きなおしたらわりと良かったけどね。
1曲目Walk The Walkと3曲目Breakfast At Igor'sはホーンセクションがかっこいい、タワー・オブ・パワーのホーンセクションが参加しているようだ。しかし、どちらの曲も、バックリフなのかテーマメロディなのかよくわからない、はっきりしない曲想。1曲目がフリオの曲だというのはかなり以外ではあるが。全体的にノリはすばらしいんだけどね、アルバムを代表する曲にはなり得ないんだよなあ。この傾向はほかの曲も同様。なんだか歯切れのいい、空間を多用したメロディーだからバックリフに聴こえてしまうのだ。ジェイのソロはまさにジェイ節、ブルーノートの独特な使い方が特徴的で、ここでもそれがよく聴かれる。
そして2曲目Patterns In The Rain、スパイロ史上初のボーカルフィーチャリングナンバーだ。70年代にこの路線にいかず、なぜいまさら(93年くらいだっけ)?次のアルバムでもボーカル曲は入るんだけど、スパイロのボーカル曲ははっきりいって駄曲だし、スパイロらしさがない(ちょっとジェイがソロを取るだけ)で、まったくうれしくない。
それから5曲目South Beach、しばらく後に(確か)熊谷美広師匠が「スパイロお得意のマイナーサンバ」と表現するマイナーラテン系曲が登場。昔もそういう曲はあったろうけど、しばらくアルバムに似たようなコンセプトの曲が入る、マイナーラテン路線の始まりだ。あくまでもサンバではないw フリオの作曲がこの路線か?と最初はびっくりするけど、冷静に聴くといかにもフリオの曲だ。
ついでにいうと7曲目Bahiaもその路線。この曲はボサノヴァスタンダードのあれではなく、デイブ・サミュエルズのオリジナルです。以下にも彼らしい、本人のリーダーアルバムに入っていても違和感ない曲想。
ほかの曲も文句の1つも言いたくなるけどなんだかんだいって、やっぱりいいかも。真の実力あるバンドゆえだろう。
そしてこのアルバム、なんとジェレミー・ウォールの曲が1曲しか入っていない。これまでの2曲体制はどうした?おまけにこれがまたかなりつまらないやっつけ仕事。スパイロ崩壊の始まりかとも思える。
ということで、スパイロにとっての初モノが多いアルバムでした。
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