2015年9月17日木曜日

書籍:禁断のジャズ理論




読む前から内容紹介で、メジャースケール一発でアドリブする方法(正確にはメジャースケールとブルーノートスケール)が書いてあることを知っていた。だから冷やかしというか少し馬鹿にしたようなつもりで読み始めた。

最初に、なぜひとつのメジャースケールでコードチェンジに対応できるのか、またあえてそうするのか、という説明が50ページくらいにわたって書かれている。コードチェンジから逃げて簡単な方法を選ぼうとする読者には少し長いのかもしれないが、非常にわかりやすく説得力のある文章でこの部分だけでもすごく面白くよめる。
実際に譜面がでてくるのはさらに20ページくらい後なので、とりあえずどんな感じか弾かせてくれというひとにはもどかしいだろう。アドリブ・フレーズの参考例は難しいものも多く、まったくの音楽初心者向けではなく楽器の技術がある程度ある人向けだ(これに近いことは冒頭の説明にも書かれている)。

複数のコードをひとつのダイアトニックで大きく括ってフレージングするというのは部分的であれば誰しもやっている(とおもう)ので、それを100%否定する人はいないとおもう。音楽は縦だけでなく横に考えることも重要でありどちらも柔軟に取り入れていくべきだとおもう。この本は「横だけ」なんだけどね。

基本的にメジャースケールということはその調に移調しているという考え方なので譜例だけみるとものすごい転調になっているあたりがユニークだ。
ということで、「え~、一発でしょ」とバカにできないところがあるとおもうのだ。

しかしながら、メジャースケールだけでアドリブをする方法は、そうじゃない方法と結果が同じだとしても演奏する側からすれば面白みに欠けることを知っておくべきだろう。音の価値は平等ではなく、どれだけインかアウトかという基準があるとおいらは考えるが、そういったものが意識されなくなる方法論ではある。

最後に、前半の例題曲は強引なところも押し切るだけの力強さでメジャースケール一発でいっていたのに、ブルースで急にスケールチェンジが多くなり(構造的に仕方ないのだが)、オール・ザ・シングス・ユー・アーにいたっては巷の入門書と同じ分析になってしまった(わかるひとはわかるよね、これ)のが残念。もっと斬新な強引さを見てみたかった。



↓よろしければ投票してください!

音楽(ジャズ) ブログランキングへ