2014年9月6日土曜日

なぜスイングジャーナルは廃刊になったのか

タイトルを見て、「なぜもなにも、自明じゃん」と思った人も多いはず。まあそうなんだけど、あえてここでまとめてみたい。

ご存知、ジャズ3大雑誌だったスイングジャーナル(SJ)、ジャズライフ、ジャズ批評。ジャズ批評は昔は季刊だったしジャズライフはよくわからん今のミュージシャンを取り上げたり楽譜を掲載したりして、わしにはイマイチじゃったわい・・・という年配の意見もあったろう。

それに対してSJは往年の4ビート時代を、かっこいい秘蔵写真をまじえて紹介し、後半はオーディオ専門ページ、そもそもSJは名門だった、多くの名盤ゴールドディスクの認定、何人もの評論家を輩出したし・・・

とまあ、このSJの魅力ってのがそっくりそのままSJのダメなところになったわけなんだよね。

ジャズ1年生や2年生ならSJでマイルスやコルトレーンの写真を見て「かっこいい!」と思って、それだけで満足していたでしょう。でも、徹底的なまでのメインストリーム志向、SJにおいては1969年は存在せず、一気に時代を飛び越えて80年のウィントンまでいってしまう。フュージョンの好き嫌いはあるかもしれないけど、露骨過ぎてうんざりした。SJにおいてはマイルスは1968年に死んでいたのだ。

で、毎年毎年「ロリンズのサキコロの真実」「カインド・オブ・ブルーの歴史的意義」とか「去年と同じ企画じゃないか?」というようなことの繰り返し。毎年「ブルーノートの名盤特集」とかやってなかった?

それからディスクレビューの信頼性のなさ。スポンサーの関係もあるのだろうけど、どうしようもない内容のアルバムが5つ星。SJは4つ星がデフォルトだからな。フリーとかジャズと無関係だとか、そういうのに限って必ず5つ星。評論家は「おれはこういうの理解できるよ」「おれはジャズ以外も好きなんだぜ」というアピールをするだけ。自分が好きかどうかでなく、レビューを見て初心者が買うかどうかを考えてほしかった。

ジャズライフはこの弊害を知ってか評点制度をとっていなかったし、ジャズ批評は「これは嫌い」とか平気で書いているからね。自分が好きなアルバムをけなされてむかつくこともあったけどw

さらにゴールドディスクの無意味さ。今月デビュー、初リーダー作とかいうのをどんどんゴールドディスクに認定。聴いてみるとだらだらと無個性の音楽が80分近く続くアルバム。おいらや友人は、本当に「ゴールドディスクに選ばれた作品は聴かない方がいい」と認識していた。売れそうもないから認定してセールス活動をしていたと思っていた。「蒐集クラブ」も後期はそれと同等だったな。

オーディオ欄をまともに見ていた読者は何人いたのだろうか。昔と違って高いセットなんか買えないし買う時代でもない。オーディオよりより多くのCDを買うことが重要だったよ。だいいち、パーカーみたいな古い録音なんかもとの音質がわるいからオーディオなんか関係ないし。

あと、SJ出身の評論家(SJにメインに寄稿していた評論家含む)の考え方がどうもおいらと合わなかった。


というわけで、かっこつけてまとめるなら、SJは過去の成功のうえにあぐらをかいて、市場の変化に目を向けていなかった。読者の求めるものよりもスポンサーの意向に沿ったものを発信する雑誌になっていったのだと思う。

その後継として生まれた「ジャズ・ジャパン」誌、たまに目を通すけど、若干ピントがずれているもののジャズ人気を高めようと奮闘している姿はすばらしいと思う。SJの残り香がするからじっくりとは読まないけどね。フュージョンをジャズの黒歴史ととらえずに、しっかり向き合うべきだと思う。フュージョンを取り上げないのは自分たちが嫌いだというだけでしょ。若いジャズファンはみんなフュージョンも4ビートも好きだよ。わざわざ線を引いているのは老人たちだけ。おいらはウェス師匠だけでなくマクラフリン、リトナーとかベンソン先生が大好きだ。




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