2014年4月23日水曜日

「アドリブができない」というひと


アドリブというのは、何か一線を越えないとできないものだ。別にアドリブできるというだけではたいしたことではないのに、できない人が多い。技術的には格段に優れているクラシックの音楽家が、アドリブができないというだけでアマチュアのジャズマンの前で恐縮しているのを見たことがある。

ジャズを始めようとしている後輩に「とりあえず、おいらが一発でバッキングやるから、テキトーに弾いてごらん。スケールも気にしなくていいから、でたらめでもいいから」と言ってやったのに、「でたらめ」ですらアドリブで演奏できないということがあった。

アドリブができるからと威張るつもりはまったくないけど、ジャズが好きならアドリブができないと話にならないのは事実。

ちなみに、ロックの人もアドリブできなきゃだめだよ、ライブのたびに毎回同じ「ギターソロ」弾くのは恥ずかしいでしょ。

話は戻るけど、パーカーのようにバリバリできなくてもいいから、何かしらアドリブができないとジャズはできない。どんなに他の技術が優れていても、ジャズをやるにはそれが必須だ。味があればうまくなくていい。ベイシーやエリントン、ひいてはモンクのピアノなんかそれだ(失礼、あれはあれでうまいよな)。

昔から吹奏楽やってきたという人は、サックスだけでなくフルートやクラリネットも演奏できたりする。すごい人になると木管だけでなく金管もできたりする。たいしたもんだ。

しかしそれだけではジャズはできない。
おいらは一度そういう人をジャムで見たときがある。ジャム会場に楽器を4つも持ってきて、曲ごとに持ち替えているのだが、テーマ終わったらまともにソロをとらずピアノに振っていた。なんだったのだろう。
「練習時間足りなくない?楽器をそんなにたくさんやらずに1つに絞ればいいんじゃないか。それでアドリブの練習をすれば」と、大きなお世話ながら声をかけたら、「アドリブの練習ってそもそも何をしていいかわからない」という返事だった。
確かに、何か一線を越えないとそういう回答しかないよなあ。でたらめでもいいからとにかく即興で音を出すということに慣れてから、そこから始まると思う。

まあ、おいらのそのときの一番の感想は「あれだけ楽器持ってるなんて、金持ちだなあ」ということだ。



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