スポーツの世界では、監督向きのひととプレイヤー向きのひとがいる(そうだ)。
海外では常識的な考え方で、だからこそマラドーナが監督になるときに「大丈夫か?」という声があがったわけだ。名プレイヤー=名監督、という考え方は日本のプロ野球だけなんじゃないのか。
ミュージシャンの世界でも、名プレイヤーが名教師であるとはかぎらない。その二者が相反するとは言わないけど。多分パーカーは教師にはなれないし、ウェス師匠やスタン・ゲッツは、生徒がいても自分が何を教えていいかわからないだろう。
おいらの知人Pくんはベースを教えているんだけど、話を聞いているとすごくいい教師なんだなあと思う。生徒に合わせてかなり柔軟に教える内容を変えている。教え方も、単に知識を伝えるのではなく、やらせてみて気付きを得させて体得させるようなやり方だ。自分自身も常に新しいことを学んでおり、すごいと思った。
Pくんがいうには、単に「教えてもらう」というつもりの生徒はダメ、金の無駄なのだそうだ。別の言い方をするなら、受身一辺倒では伸びない、ということだ。毎回「今日は何を教えてくれるのかな」というスタンスではダメということだ。
たとえば週1回のレッスンだとしたら、レッスンとレッスンの間の6日間に自分なりにいろいろ試したり新しいことに挑戦して、わからないことを見つけて、次のレッスンのときに自分から「これってどういうことなのでしょうか」と質問してくるようなスタンスが必要なのだそうだ。そういうスタンスの人はレッスン料に見合った、もしくはそれ以上の成果を得ることができる。どうせ金を払うなら効率いい方がいいよね、と言っていた。
音楽というのは教室に通ったときでなくむしろ普段の練習が一番大切であって、さすがのPくんでも手に負えない生徒がいるそうだ。「3年通って、毎回言っているのに、いまだに『メジャースケールって何でしたっけ?』っていうひとがいるんですよ~」とか言っていた。うーん、カネをどぶに捨てているとはこのことを言うのだね。
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