2016年11月13日日曜日

Rites of Summer


Rites of Summer


個人的な印象を言えば、このアルバムからスパイロの音楽性がガラッと変わる。前作までは若干微妙なものもあるが基本的には西海岸風の、昼間に聴く音楽だったのが、これ以降は東海岸風といっていいかわからないけど、とにかく夜に聴く都会的なフュージョンになるのだ。

その上で、このアルバムは満点とは言わないけど名曲のオンパレードで、奇跡の1枚と言ってもいいくらいの名盤。全体的にジェイが前面に出るのを抑えて仲間を立てている印象だ。
1曲目Claire's Dreamから幻想的なサウンドで、トム・シューマンのソロの入り方はお得意の、まるでリフの一部かのようなきらびやかなフレーズ。人気曲らしいDaddy's Got A New Girl Nowはそんなに好きではない。デイブ・サミュエルズによる3曲目のLimelightは、チャップリンの映画のイメージを持っているとずっこけるほど曲想が違うが、ソロが秀逸で、特に後半がかっこいい。
続いて、個人的にはスパイロ史上最高傑作の1つとも思うShanghai Gumbo。フリオの曲は少ないが当たりが多い。リフが特徴的で、好き嫌いが分かれるかもしれない。ソロの進行は2パートあり、どちらもかっこいい。おいらもライブで演奏したときがあるが、メンバーからは「なんかダサい曲」と言われたw
それから、おい、トム、どうした?と思うほどのトムらしくない佳曲Innocent Soul。別人説を唱えたいくらい、「らしくない」。

アルバム後半は若干パワーダウンするけど、ドラマーのモラレス作曲というThe Archerは超名曲。ドラマーがこれを書いたとは信じられない。もともとメロディー楽器の素養もある人なのか?確かにかっこいいアクセントを決める曲だからドラマーらしいといえばらしいが。

このアルバムから数枚で聴けるサウンドが、おいらにとっては伝説のラジオ番組「Jazz from the city」で流れた音楽の典型だ。



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