マイルスのプラグド・ニッケルは何度も再発されているけど、おいらが持っているのはコンプリートの8枚組。限定生産のときだったのでシリアル番号がついています。可能であればこのライブはコンプリートで聴いてほしいところだ。ヴァージョンがたくさんあるからジャケ写真は今回なし。
「フット・プリンツ 評伝:ウェイン・ショーター」によると、このライブではいままでの既定路線をとっぱらった演奏だったそうだ。しかもマイルスには内緒で。これ以前のこの頃のマイルスのライブ・アルバムとはあきらかに違う(そっちはそっちで十分すぎるほどすごいのだけど)。コンプリートなので変化の過程がわかるのだが、早いほうのステージではマイルスがとまどい、暴走している(ようにみえる)メンバーを押さえつけようとしているように聞こえる。しかしステージが進むと他の4人のやりたいことがわかってきているようでむしろそれを楽しんでいるようにきこえる。
寺島氏だったか中山氏だったか忘れたけど、当時のマイルス・クインテットについて「来る日も来る日も枯葉とマイ・ファニー・ヴァレンタインをやって」うんざりみたいなことをどこかで書いていた。悪いけどマイルスがやろうとしていたことを理解していない言葉だとおもう。やりなれたスタンダードを何度も何度も演奏することによって何か新しいものを求めていたのは明らかであり、そういったものはライブでしか得られない。それがプラグド・ニッケルの演奏かどうかはわからないけど。
この頃のロンはたまにグイィィィンをやるが、さすがマイルス・クインテットのメンバーだけありバンドのサウンドに合っている。トニーとハービーが持っていこうとする方向にあえて行かないという不安定さなどもありスリリングだ。ウェインとハービーのフレーズは神がかっていてため息の連発。まさに化け物。この5人だからできるサウンド。先駆者がいるわけではない、彼らが作った彼らにしかできない音楽だとおもう。必聴です。
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