2016年12月28日水曜日
淘汰もしくは洗練化
ジャズの歴史の初期は、低音部はベースではなくチューバが担当していたらしい。マーチングが原型だからだろう。だんだん楽器編成がいまのジャズに近づいていく過程を、楽器における淘汰というべきか洗練化というべきか。
ビバップの時代はアルトサックスやトランペットも多かったが、今はほとんどがテナーサックス中心となってしまった。別にトレーンやマイケルがパーカーより人気があるというわけではない。テナーの方が明らかにかっこいいシェイプ、Cメロを移調するのもアルトより簡単、フラジオ出せるくせに低音も出せるというのが魅力なのだろう。トランペットについては、木管楽器より明らかに難しいしポップなサウンドへの親和性を考えるとサックスにはかなわない。フリーの世界なんて、マルチリード奏者でもメインはテナーであるのがお約束だ。
昔あるジャズ誌に書いてあったNYの某ミュージシャンのインタビューでこういうのがあった。
「ボクがプロデビューできたのはアルトを吹いていたから。珍しかったからバンマスに呼ばれたのさ。もしテナーを吹いていたら永遠にプロデビューできなかっただろう。自分よりうまい人はいくらでもいるし、テナーなんて珍しくもないからね」
だいたいこんな内容だったと思う。NYにおいても、ジャズといえばテナーらしい。
ただ、そういう流れは、ジャズの幅が狭くなっているようでなんとなく残念だ。ハーモニカとかヴァイヴのように、いつの時代も少数派というのとは違う。ジャズの主要楽器が、テナーと3リズムであるというのが定番になってしまうと、ちょっとおもしろくない。
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