2014年6月22日日曜日

曲名を大切にしないジャズミュージシャンの話

これはどこかに書いたような気もするんだけど、探してもみつからないで改めてここに書いてみます。


昔の話です(あいかわらず)。

古参のサックス、Pさんのバンドにトラで入ることになった。Pさんは周囲の誰もが恐れるベテラン。まあ腕前はちょっとアレなんだけど、そこらのどのベテランのひとよりも古くからやっているということで、みんな丁寧に対応をしていた。そのせいでPさんはいばっていたけどね。腕前に比例していなかったから若手は陰でいろいろ言っていたよ。

さてPさんのバンド練習に行った。メンバーのベーシストさんが「おい、おまえ。ソンブレロって曲知ってるか」ときいてきた。おいらは、自分でもすごいと思うんだけど、その瞬間「あ、やばい、多分古いひとにありがちなパターンだ!」と一瞬にして悟った。
「ソンブレロ・・・という曲は知りませんが」と答えると「なんだ、知らないのか。この曲だ」とベースで演奏してくれた。

予想したとおり、「サンボレロ」だった。

ソンブレロはメキシコの帽子、サンボレロはサンバ+ボレロの造語でルイス・ボンファが作った曲。ああ~ラテンとブラジルは違うのにすごい間違いだ。おいらはくらくらした。

今度はPさんが「おい、アディオスって曲知ってるか」ときいてきた。またおいらは悟った。アディオスとかスペイン語言ってるけど、どうせブラジルの曲なんだろう、と。
知らないというと「おいおいおまえは何も知らないんだな」とばかりにPさんが吹いてくれた。

ジョビンの「フェリシダーヂ」だった。

「ああ、フェリシダーヂですね」というと「そうそう、フェリシダー」と、これまたわけのわからない返答だった。それ、何語だよ・・・


ジャズミュージシャンは曲名を大切にしないときがある。チャーリーパーカーの時代、作曲クレジットもいい加減だったりしたけど、でもいくらでも情報が入ってくる現代日本においてこのように曲名を大切にしないのは、ちょっと音楽に対する姿勢を疑う。ベテランほどそういうひとは多いけど、ベテランだからといって音楽に真摯に向き合っているとは限らない。


なんて、えらそうなこと言ったけど、「サンボレロ」じゃなくて「サンバレロ」でした。記憶違い。これじゃフェリシダードのことを笑えないなあ。


ところで余談もあるのだけど・・・



↓よろしければ投票してください!
 
音楽(ジャズ) ブログランキングへ