2017年12月31日日曜日
Secret Story
メセニーの1992年作品。リアルタイムで聴いて、「やはりパットは、ライルがいないとダメ」という思いを強くした覚えがある。
パーソネルに「カンボジアのこどもたち」とある時点で、なんだか嫌な予感がするが、それはわるくない。全14曲なんだけど、ずっと「せいぜい聴けるのは6曲目まで。あとは最悪」という印象だけを記憶していた。
最近、ホント久しぶりに聴いてみたら、なんだ、悪くないじゃん。2曲目は文句なし。これ、パットの重ね録りで、ソロはいかにもバックトラックの上で何度も何度もやり直した感があるほど「完璧」な仕上がりになっているw ほかにもひとりでウィチタの二番煎じやっている4曲目とか、一瞬キースっぽいと思う5曲目、どこにでも転がっているような曲想の6曲目とかもほほえましくなる。
10曲目からラストまでの5曲は、パットが「特に自信がある」と言っていたもので、とにかく昔は「この5曲こそが特につまらん!」と思っていたんだけど、今回10曲目から聴いてみても、そんなに悪くない・・・と思っていたら、ラスト2曲はやはりだめだった。
このアルバムの一番の問題は、長すぎること。CD時代で70分以上詰め込んでいるから、何度もパットの言いたいことが登場してきて食傷気味になるのだ。スピーチでもコラムでもアルバムでも、短くまとめられる人ほど上手。パットは演奏はうまくてもこの時点(いや、現在に至っても)ではプロデュースはヘタクソなのであった。
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2017年12月30日土曜日
Quartet by Oscar Peterson
オスカー・ピーターソン・カルテット。1952年。ピーターソンのトリオに「ドラマー」が加わったもの。間違ってもトリオに「ギタリスト」が加わったものではないということは、ファンならよくわかるはず。
CDでは4曲+1ボーナストラック、ということになっていて、全曲11~12分のトラック。この時代に珍しいなと思っていたら、10インチのレコード2枚だったみたい。
とにかくピーターソンがぐいぐいと飛ばす。かなりすばらしい内容。ギターはケッセルで、これまた個性のかたまり、最高の演奏だ。この編成でどの曲も10分以上なので、ソロが1人2回出てきたりして、「強引に長くした」という感じではあるものの、まったく飽きない。大好きなアルバムだ。
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2017年12月29日金曜日
アーヴィング・バーリン
チャップリンの自伝に、アーヴィング・バーリンが大恐慌で大損をした話が書いてある。
先日、クリスマスのリアルブックにホワイトクリスマスが掲載されていなかった、という話をしました。この曲、ご存知のとおりアーヴィング・バーリンの曲ね。
以前、ボーカリスト御用達の赤本青本にも、(少なくとも昔は)バーリンの曲が一切掲載されていなかったという話をしたことがある。
バーリンの曲は、権利関係で収録できなかったのだろう。スタンダード本で、ホワイトクリスマスとかチーク・トゥ・チークがないというのは確かに痛い。
とはいえ、バーリンの曲は、実はコード進行がつまらなくて、インストでやる分には敬遠してしまう。転調らしい転調もないし、延々と循環コードだったり、楽しくないのだ。メロディは美しいのだけど。これは有名曲に限らず、ミュージカルのサントラとかを聴いていてもわかる。ポーターやロジャースのミュージカルサントラとは明らかに違う。
バーリンは、メロディだけ書いて、ハーモニーは弟子(ビジネスパートナー?)がつけていたということだから、コードがつまらなくなるのは必然。バーリンの曲はボーカル向けなんだなあと思う。アステアが歌っているアルバムとかはすごくいい。
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先日、クリスマスのリアルブックにホワイトクリスマスが掲載されていなかった、という話をしました。この曲、ご存知のとおりアーヴィング・バーリンの曲ね。
以前、ボーカリスト御用達の赤本青本にも、(少なくとも昔は)バーリンの曲が一切掲載されていなかったという話をしたことがある。
バーリンの曲は、権利関係で収録できなかったのだろう。スタンダード本で、ホワイトクリスマスとかチーク・トゥ・チークがないというのは確かに痛い。
とはいえ、バーリンの曲は、実はコード進行がつまらなくて、インストでやる分には敬遠してしまう。転調らしい転調もないし、延々と循環コードだったり、楽しくないのだ。メロディは美しいのだけど。これは有名曲に限らず、ミュージカルのサントラとかを聴いていてもわかる。ポーターやロジャースのミュージカルサントラとは明らかに違う。
バーリンは、メロディだけ書いて、ハーモニーは弟子(ビジネスパートナー?)がつけていたということだから、コードがつまらなくなるのは必然。バーリンの曲はボーカル向けなんだなあと思う。アステアが歌っているアルバムとかはすごくいい。
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2017年12月27日水曜日
浪曲
浪曲師の玉川太福さんによると、浪曲はジャズのセッションと同じで三味線の伴奏は即興でやっているそうだ。古典の話はだいたい決まっているのだろうけど、太福さんのように創作もやっているひとだと事前の練習をしっかりしているとおもっていた。直前まで何をやるか決めないらしい。
落語もジャズと関連があると以前からいわれているよね。だいたいのスジがあり出だしと下げが決まっているけどその間はほぼ噺家の自由。長くも短くもなる。
とはいえ、まるっきり勝手に作ってしまうとそれは落語ではなくなるわけで、これまたジャズ同様「最低限の語法」が必要となる。そのためには長く接して身体に染みこませるしかないわけだね。
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2017年12月25日月曜日
ジャズマンガ「BlueGiant Supreme」第32話
活気がある練習が始まり、非常に楽しみになっているんだけど、いや~やっぱり大はアホだねえw 音楽だけやっていくって言っても、それで死んじゃどうしようもないでしょ。ジャイアンツの時代は仕事も多かったから音楽のことだけ考えていればよかったのかもしれないけど、古き良き時代との差を認識しなければならない。さらにいうと、音楽以外のことをやって何かが壊れてしまうようなら、それはその程度の人だったってことだ。
しかし最後の「金がないのに働かない、作曲しないのに口出しする」ということについて、前者については上で言ったとおりなんですけど、後者については、マイルスも、ゲッツも、そしてビッグになってからのクインシーも作曲してないからなあ。ま、ゲッツなんか作曲しないかわりにまったく口出しもしなさそうだけどね。
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しかし最後の「金がないのに働かない、作曲しないのに口出しする」ということについて、前者については上で言ったとおりなんですけど、後者については、マイルスも、ゲッツも、そしてビッグになってからのクインシーも作曲してないからなあ。ま、ゲッツなんか作曲しないかわりにまったく口出しもしなさそうだけどね。
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2017年12月23日土曜日
クラシックコンプレックス
80年代~90年代において一部のジャズミュージシャンがクラシックのアルバムをつくることがけっこうあった。おそらくほとんどのジャズファンは「クラシックに迎合しやがって」という感情をもったのだとおもう。しかし老舗のジャズ雑誌、スイングジャーナルだけは嬉々としてそれらのクラシック音楽のアルバムを新譜コーナーで紹介した。採点はどれも高評価(あの雑誌の場合低評価がつくのはよほどの場合だが)。知ったかぶりとしか感じられないジャズファンが読む雑誌で何をやっているんだとおもったね。こういうところにジャズ側のクラシック・コンプレックスがあらわれている。
ジャズ側の人間はロックやポップスは音楽的に下だとみるが、クラシックについては自分たちより上だとおもっている。マイルスが自伝で言っているように、たしかに多くのロックミュージシャンは音楽のことをまるで知らない。セブンスがテンション扱いとなる世界だからジャズのほうが高度だと思うのだろう。譜面の読み方など当然知らず、タブ譜か耳コピが主流。この耳コピという言葉も大嫌いではある。
オタマジャクシの意味について話すと「あ、理論はちょっと詳しくないんだよね」といわれる。オタマ程度が理論として受け止められることに唖然としたものだ。
ではクラシックはといえば、ミュージシャンは全員幼いころから楽器を始めて初見の読譜なんてできてあたりまえ、そんなの普通で全然すごくない、というひとたち。この時点で初見に弱いジャズ側はかなりのコンプレックスをもつ(ピアニストは別ね)。リタルダンドとフェルマータとその他数個の音楽用語しか知らないジャズ側とくらべて、ドイツ語の聞いたことない発想記号まで熟知している(「カンタービレ」なんて言葉はのだめで初めて知ったぞw)。
さらには、高尚なイメージで歴史が古くヨーロッパが中心でコンサートはチケット代高いのにいつも満席で、しかもそれが大きな会場で全員が絶対音感もっていそうな雰囲気で金持ち・音大・留学があたりまえで・・・・とまあ、確かに上だと感じてしまうわなあ。
音楽に上下はないのかどうか知らんけどコンプレックスもつのは仕方ないな、うん。でも今更ながらこれだけはいいたい。ジャズ雑誌でウイントンの「熊蜂の飛行」とか紹介されてもウザいだけだぞ~!!!
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2017年12月22日金曜日
BILL EVANS “YOU MUST BELIEVE IN SPRING”
BILL
EVANS “YOU MUST BELIEVE IN SPRING”
何度聴いても感動する。このアルバムはエヴァンスの、いやすべてのジャズのアルバムのなかでで3本の指に入る名作だとおもう。61年の”WALTZ
FOR DEBBY”でのマイ・フーリッシュ・ハートの最初の一音の緊張感がよいという人がいるが、このアルバムの冒頭のBマイナー・ワルツの最初の1音はそれを凌駕する。確かに好みの問題はあり、「70年代以降のエヴァンスは嫌い」という人もいるかもしれないが。
エディ・ゴメスはエヴァンスに雇ってもらうために自宅の前で座り込みをしたそうだが、60年代にはその恩を仇で返すような駄演(気合いは入っているが空回り、音楽的とは対極。技術的にはすごいかもしれないけど)を連発していた。それらを一発で帳消しにしたアルバムだといえる。当然、いきなりここでのプレイに変化したわけでなく、エヴァンスのコンボの演奏を録音順に聴いていくとそれがわかる。ま、とはいえ、しばらく前まで、まったく録音がみつからない時期(70年~72年くらいか)があり、入手できる音源ではまさにゴメスが「一夜にして変化した」ような印象を受けたものだ。
ここでの美しさは当然ながらゴメスだけの功績ではないしエヴァンスの役割が一番大きいのだけど、他のベーシストではここまで表現できなかっただろうとおもう。あのゴメスにこんなに歌心があったのかと10年前の録音しか知らない人が聴いたら信じられないだろう。あの歌心がゼロどころかマイナスの、ヴァーヴ時代のゴメスしか知らない人なら。
アルバム全体をエヴァンスが支配していてインタープレイじゃないからダメとかいう批判もきくけど、ジャズであるから基本的にインタープレイだろうし、一般世間でいわれる「インタープレイ」ってそんなにいいか?とおもう。ベースが反応すればそれがインタープレイ、目立った反応がなければ否、という間違った解釈があるのではないだろうか。おいらの友人は「ラファロはきっかけみつけるとすぐに動きすぎて、うざい」と言っていたが、同意できる部分もあるしね。
ちなみに、70年代後期以降のゴメスしか知らない人は、ゴメスこそ抒情的なベーシストの最高峰だと思っているだろう。60年代のゴメスを聴いたら、上の場合とは逆にびっくりするだろうなw
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