2014年2月19日水曜日

ロン・カーター 7



ロン・カーターを嫌いな人が理由のひとつにあげるのが70年代の電気的な音色だろう。
実際、あの音色はロンの代名詞ともいえる。しかしじつは硬派なイメージのリチャード・デイヴィスのほうが70年代はロンより電気的(?)音色が強かった。あのころはみんなあんな感じだったのだ。

ピックアップを使いアンプで音を出すことにより、広いレンジでふくよかな音色をだすことができる。
とくに中音域がひろがり聴きやすくなる。

ピックアップの使用はロンとは関係なく広がっていったのだろうけど、アコースティックの世界でも電気増幅したベースを使っていいと認知させたロンの功績は大きいとおもう。

アンプで音量があげられるのでベーシストは弦高を下げた。音量は落ちるものの圧倒的に弾きやすくなるのだ。そういうなかでスタンリー・クラークのような超絶ベーシストが登場したのだ。
勢いだけで弾いていたエディ・ゴメスもアンプを使うようになってご存じのとおりメロディアスになった。ビル・エバンス・トリオでの1969年までの演奏と70年代以降の演奏は別人のプレイに聴こえる。
弦高下げてアンプで増幅してもなぜかロンだけはテクニック的な飛躍はなかったけどw

時代の流れか、現在はアンプの音色のベースは敬遠されているようだね。新しい録音では生音をコンデンサーマイクで録っているかのような感じだ。やたらと重い音色で安物の機械で再生してもよくきこえない。おいらははっきりいって不満だ。

録音だけでなく実際のライブでもアンプをつかわないというベーシストがごくまれにいる。60年代以前はアンプなんか使ってなかったからだという。
音量を稼ぐために弦高はあげる。それでもドラムにかき消される。フロントとしてはベースが聞こえなくなりやりづらい。聴いているほうもバンドのノリがあまり感じられないだろう。

昔とちがっていまはベーシストにも高度なフレーズが求められ、あたりまえのようにユニゾンなどがアレンジされている。弦高を上げるというのはこれらの要求にこたえられなくなるということだ。
弦高をさげて生音というのは最悪のパターンだろう。そんなやつはみたことないけど。

いまの電気的音色はダメだという風潮のなかであえてそういう音色でやっているベーシストは一本筋が通っているたいした人だとおもう。

「アンプなどダメ、生音だ」というならそれなりの楽器を使ってほしい。わるいけど50万くらいのベースで生音なんていっても笑ってしまう。

おっと、今回はちょっとロンをほめてしまったw



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