おいらの時代はもうキャバレー全盛期ではなかった。でも、小ぢんまりとした飲み屋(場末感あるような)で演奏するのがかっこいいという時代であった。
当然おいらも飲み屋での演奏にあこがれていた。レギュラーで入ったりしてけっこうやったけど、もうやらなくていいと今は思う。ギャラが良くて「どうしても」と頼まれればやらんこともない、というくらい、今はやりたくない。なぜか。
1つには、ストレスがたまるというのがある。ライブと違って、店が求める雰囲気を作らなければならない。いわゆるおしゃれなジャズというやつだ。曲もスタンダードばかり。だんだんいやになってくるんだよね。店によっては「狭い」「うるさい」という理由でドラムなしのところもあり、そうすると音量は小さくてもスカスカな音楽になったりしてね。
続いて、明らかに客が聴いていないということ。バンドがいる飲み屋は、通常は「2軒目」。もう酔っぱらった客が来て、まったく聴いていない。でかい声で話す。それなら有線でBGM流したほうがいいじゃないかと思った。最初の頃は、そういう哀れさがまたかっこいいなんて思ったりしてたけど、ほら古い映画の世界っぽくてね、でも慣れてくると単につまらなくなるんですよ。
そして3つ目。これは2つ目の理由の延長にあるんだけど、客は聴いていないどころかバンドをジャマだと思っている。せっかく会話しようと思っているのにバンドがうるさい。おい、ちょっと静かにしろ、となる。実際おいらも逆の立場だったらそう思う。店主が演奏しろというけど、いや~いま演奏しないほうがいいでしょ~と思いながら演奏していた。客はバンドがうるさいから「場所変えようか」と言ってさっさと退店していく。はっきり言おう、バンドがあると客足は遠のくよ。
「次どの店行く?」
「あそこはどう?」
「あそこ、バンドがうるさくて話せないでしょ。別のところにしようよ」
となる。おいら自身、店を選ぶならバンドがいない店を選ぶw
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